本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

あてなよる 簡単・絶品おつまみ帖

番組が放送されると引き合いが増えるので、番組ガイドが手放せないのがこの書店の特徴です。

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「あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖」大原千鶴 著(NHK出版)

人気料理研究家・大原千鶴さん 初のおつまみ本!
NHK BSプレミアムの人気番組『あてなよる』待望の書籍化。料理研究家・大原千鶴さんによる、酔っていてもつくれるほど簡単なのに絶品の「あて(おつまみ)」レシピを紹介する。そのレシピにマッチするお酒を、日本を代表するソムリエ・若林英司さんが提案。「あて」と「酒」とのマリアージュが、酒呑みたちを夢の世界に誘う! 

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最近人気を集めている本は、料理研究家が酒の肴をつくるという本。三度三度の食という必需品ではないところがミソ。ちょっと贅沢な気分が味わえるところが人気の秘密なのかも知れません。

あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖

あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖

 

番組ホームページを訪れると肴の作り方が載っています。 f:id:tanazashi:20170516175446j:plain

酒場放浪記がヒットして、飲み歩く番組が増えてきました。


www4.nhk.or.jp

 

お笑い芸人&作家又吉直樹さんの新作「劇場」発売。

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小説「火花」で芥川書を受賞したお笑い芸人の又吉直樹さん。「火花」は累計300万部を突破しました。又吉さんの新作長編小説「劇場」が11日(木)単行本として発売されました。

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サイン会を終えたばかりの又吉さんのインタビュー番組などが放送されることもあり、書店の目玉は「劇場」に絞られました。

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テレビでは、又吉さんは二作目のプレッシャーがあったと語っています。「二作目が勝負ですねといわれたりして、いろいろな人に応援され、あれも応えたい、これも応えたいと考えていると、みんなの意見をちゃんと実現しようと思ったら、そんな小説はないと。途中で気づいたのですが、僕はそもそもみんなから愛される人間ではなかったなと」

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普段本を読まない人が本を手にしてくれるのが、こうした話題作が発売されたときです。読むことに面白さを発見した人が次々に増えていくことを期待したいと思います。

週間ベスト10 2017.05.09

ランキングです

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東京堂書店神田神保町店調べ(5月9日)

 

 

1「みみずくは黄昏に飛びたつ」川上未映子村上春樹 著(新潮社) 

ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、 そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字 におよぶ、「作家✕作家」の金字塔的インタビュー。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

 

 

2「映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景」Sunborn 著(ソリレス書店)

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この雑誌は、個人的にミニコミ誌「映画酒場」を発行している月永理絵さん(32)が、映画関連サイト「LOAD SHOW」などを運営するSunbornに持ちかけた企画で、同社にとっては初の紙媒体となる。

「極端な話、映画と酒が好きという動機だけで十分におもしろい。とりあえずは季刊を想定しているが、理想としては毎月の発行を目指したい」と同社の岡本英之さん(36)。【手帖】雑誌「映画横丁」が創刊 - 産経ニュース

 

https://www.facebook.com/eigayokocho/

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映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

 

 

3「筒井康隆コレクションVI美藝公」筒井康隆 著(出版芸術社) 

日本最大の産業が映画という世界を描いた「美藝公」北海道にソ連軍が攻めてきた―!?「歌と饒舌の戦記」ほか実験的小説「上下左右」(イラスト:真鍋博)や「クラリネット言語」など貴重な短篇やエッセイを併録。表題作に横尾忠則の美麗イラストを再録した豪華選集!

筒井康隆コレクションVI美藝公

筒井康隆コレクションVI美藝公

 

 

4「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀 著(株式会社ゲンロン)

否定神学マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

5「勉強の哲学 来たるべきバカのために」千葉雅也 著(文藝春秋

人生の根底に革命を起こす「深い」勉強、その原理と実践。勉強とは、これまでの自分を失って、変身することである。だが人はおそらく、変身を恐れるから勉強を恐れている。思想界をリードする気鋭の哲学者による本格的勉強論。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 

6「暗い時代の人々」森まゆみ 著(亜紀書房

大正末から戦争に向かうあの「暗い時代」を、翔けるように生きた9つの生の軌跡を、評伝の名手が描き出す!

満州事変勃発から太平洋戦争終結にいたるまでの、あの「暗い時代」。その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろうか。この本の中でわたしが書いたのは、最も精神の抑圧された、1930年から45年の「暗い時代」に、「精神の自由」を掲げて戦った人々のことである〉(本書まえがきより)

【目次】
第1章 斎藤隆夫 リベラルな保守主義
第2章 山川菊栄 戦時中、鶉の卵を売って節は売らず
第3章 山本宣治 人生は短く、科学は長い
第4章 竹久夢二 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
第5章 九津見房子 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリス
第6章 斎藤雷太郎と立野正一 「土曜日」の人々と京都の喫茶店フランソア
第7章 古在由重 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
第8章 西村伊作 終生のわがまま者にしてリベルタン 

暗い時代の人々

暗い時代の人々

 

 

7「中動態の世界 意志と責任の考古学」國分功一郎 著(医学書院) 

自傷患者は言った「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」。依存症当事者はため息をついた「世間の人とは喋っている言葉が違うのよね」
――当事者の切実な思いはなぜうまく語れないのか? 語る言葉がないのか? それ以前に、私たちの思考を条件付けている「文法」の問題なのか?
若き哲学者による《する》と《される》の外側の世界への旅はこうして始まった。ケア論に新たな地平を切り開く画期的論考。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

 

 

8「辺境図書館」皆川博子 著(講談社

最期の日まで、本に溺れる。小説の女王が耽読した、妖しくも美しい本の数々。書き下ろし短編「水族図書館」も収蔵。

辺境図書館

辺境図書館

 

 

9「最愛の子ども」松浦理英子文藝春秋

“パパ”日夏、“ママ”真汐、“王子”空穂。わたしたちの心をかき立てるのは、同級の女子高生三人が演じる疑似家族。時代を切りひらいて来た作家、最新にして最高の傑作!

最愛の子ども

最愛の子ども

 

 

10「人みな眠りて」カート ヴォネガット 著(河出書房新社

ヴォネガット、最後の短編集! 冷蔵庫型の彼女と旅する天才科学者、消えた聖人像事件……没後に初公開された珠玉の短編16篇。

人みな眠りて

人みな眠りて

 

 

一汁一菜でよいという提案

売れ行きが堅調なジャンルといえば料理のレシピ本です。ネットにも献立情報が溢れかえっていますが、ネットで話題を集めた出版物がヒットするなど、この分野は"ウインウイン"の関係が続いているように見えます。

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一度にまとめてつくって数回に分けて食べる忙しい人向けの献立。生活習慣病にお悩みの方向けの栄養バランスを考えた献立。手間をかけずにつくれる簡単便利な献立。痩せたい人向けの低カロリー献立。最近のレシピ本は機能ごとにまとめられ献立が人気です。時代とともに人気を集める献立のテーマはへんかしているので、料理本コーナーのはやり廃りを眺めると日本人の暮らしの変化が見て取れるような気がします。

最近の傾向として気になるのが表紙を飾る献立の華やかさです。カラフルな食欲をそそる食材が並ぶさまを見ると現代の食事はファッションと言わんばかりに見えてきます。

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見た目重視の"レシピ本"ブームにあえて背を向ける本が、レシピ本コーナーに登場し、料理番組制作者の注目を浴びました。

「一汁一菜でよいという提案」土井善晴 著(グラフィック社)

著者の土井善晴さんは家庭料理の第一人者であった土井勝次男の料理研究家です。

日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。
何も気負う必要はありません。
基本となる食事のスタイルを持てば、生活に秩序が生まれます。気持ちに余裕もできて、そこから新たな暮らしの楽しみが生まれるのです。

長年にわたって家庭料理とその在り方を研究してきた土井善晴氏が、
現代にも応用できる日本古来の食のスタイル「一汁一菜」を通して、
料理という経験の大切さや和食文化の継承、
日本人の心に生きる美しい精神について考察します。

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ページを開くと並んでいるのは野菜を炊いたり、刻んで和えただけの質素なおかず、そして具沢山の味噌汁ばかり。しかし、簡単に見えても丁寧につくられた料理の表情を眺めていると自然に心が和んでくるような気がします。

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「一日一日、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる暮らしのリズムをつくること。その柱となるのが、一汁一菜という食事のスタイル」という料理研究家の提案は、毎日のくらしを楽しむことの意味を教えてくれます。

 

みそ汁というのは、濃くても薄くても、全部おいしく出来上がるわけです。これは、私が作らなくても、誰が作っても、みんなおいしくできるんです。

お料理を作る人が食文化を担ってきた人です。

手作りの味、私たちの理想でもあり、時に心の負担にもなってきました。毎日続けていくためには、品数や体裁にこだわらず、できる範囲でもっと自由に楽しんでもいい。

一汁一菜に1分料理動画!食卓“簡単”進化論 - NHK クローズアップ現代+

『マーマーマガジン』を発行するエムエム・ブックス

東京堂のランキングに初登場した「マーマーマガジン」とはいったいどういう雑誌なのか?この本の版元「エムエム・ブックス」とはいったいどういう出版社なのか、関心を持ちました。

しらべると、植林された杉林に着物のようなホームウエアが並んだ写真を発見しました。写真には洒落た挨拶文が綴られています。

これはいったいなんでしょう。

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あるくよりも ひかえめに踊る日日に

小さな村の生活衣を身づくろう

日本のささやかな暮らしに

ひかりにゆれる衣が ひらり

花のかおりをゆたわせて

 

i a i は

暮らしのなかにひかりをみれる衣

そんな在りようの衣に想いを馳せ

早い服たちのずっとうしろから

遅れてゆきます

 

(i a i 居相大輝より)

 

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情報を読むことから体験することに、流れを変えようとする出版のこころみがあります。文筆家で詩人の服部みれいさんが編集長を務める雑誌『マーマーマガジン』もその一つ。4月27日に発行された「murmur magazine for men 3号」の特集は「みの虫生活のすすめ」と「うつくしいちいさな暮らしと服づくり」の二本立てです。表紙と企画からわかるように、スローライフミニマリズムエコロジー思考の優しい雑誌で、手に取るだけで癒やされるような雰囲気が特徴です。

なにより驚きなのは、この本が東京ではなく、岐阜県美濃市を拠点に出版されていることです。クリエイターやショップと情報を共有することで、出版という理念を経営的に支えてゆくという構造を作り上げているところにたくましさも感じます。

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地域社会にとっても、生活の拠点を地域において活動を続ける取り組みは、持続性から見ても頼りになる存在です。ここにしかない出会いを求めて全国からこの土地を訪れる人が増えることで、文化が育つからです。 

http://colocal.jp/wp-content/uploads/2015/08/th_4.jpg

岐阜県美濃市に「マーマーマガジン」のショップがオープン!エシカルでホリスティックな「エムエム・ブックス みの」|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する

 

ショップでは連休中にi a i 居相大輝さんの個展が開かれました。

必要最低限の道具を用い、お客さまと顔を会わせ、お話をしてから服を仕立て、その場でしつらえ、お渡しいたします。 

土の香りをまとった採れたての野菜を調理するような、人の手でしか成しえない風合いを感じていただけますとさいわいです。

と説明があるように、地域の素材を使って作ったものをその価値を共有する人に手渡すというやり方は、まさに「モノよりコト」に比重を置く、今の価値観をすくい取ったような方法論のように思います。

 

池上冬樹さんが薦める新刊 2017.05.07

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アーサー・ミラーⅣ 転落の後に/ヴィシーでの出来事」アーサー ミラー 著(早川書房

赤狩りと二度の離婚で心に深い傷を負ったクェンティンは、激動の半生を顧みる―著者とマリリン・モンローの結婚をはじめ私生活に多く材を取った自伝的傑作「転落の後に」。親ナチス政権下の留置場。強制連行された男たちが身分を証明するため待機している。しかし取調室に呼び出されたまま帰らない者が多く…ユダヤ人狩りの実相を描き、衝撃の結末へとなだれ込む―幕劇「ヴィシーでの出来事」。

 

「宝を探す女」逢坂剛 著(KADOKAWA

岡坂神策は、ある晩ひったくりにあった女を助ける。が、なぜかその女は、東京御茶ノ水に埋まっているという幕末埋蔵金探しを持ちかけてきて(表題作)。失踪した男の近所で起こった殺人事件の真相。ある女子中学生が転落死した事故の謎。人気女優から依頼された、恋人の尾行調査の結末。「カティンの森事件」に埋もれた闇。ハードボイルドの巨匠、逢坂剛が描く5つの大人のサスペンス。「岡坂神策」シリーズ短編集。

宝を探す女 (角川文庫)

宝を探す女 (角川文庫)

 

 

 

「ナオミとカナコ」奥田英朗 著(幻冬舎

望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」。やがて計画は現実味を帯び、入念な準備とリハーサルの後、ついに決行の夜を迎えるが…。

ナオミとカナコ (幻冬舎文庫)

ナオミとカナコ (幻冬舎文庫)

 

 

  

週間ベスト10 2017.05.07

文額・ノンフィクション部門のランキングです。 

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三省堂書店神保町本店調べ(4月24日~30日)

 

1「みみずくは黄昏に飛びたつ」川上未映子村上春樹 著(新潮社)

ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、 そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字 におよぶ、「作家✕作家」の金字塔的インタビュー。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

  

2「蜜蜂と遠雷恩田陸 著(幻冬舎

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

3「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち田中圭一 著(KADOKAWA

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

 

tanazashi.hatenablog.com

4「母の記憶に」ケン リュウ 著(早川書房

不治の病を宣告された母は、誰より愛するひとり娘を見守り続けるためにある選択をする。それはとてつもなく残酷で、愛に満ちた決断だった…母と娘のかけがえのない絆を描いた表題作、帝国陸軍の命で恐るべき巨大熊を捕らえるため機械馬を駆り、満州に赴いた探検隊が目にしたこの世ならざる悪夢を描いた「烏蘇里羆」、脳卒中に倒れ、入院した母を、遠隔存在装置を使用して異国から介護する息子の悲しみと諦念を描く「存在」など、今アメリカSF界でもっとも注目される作家が贈る、優しくも深い苦みをのこす物語16篇を収録した、待望の日本オリジナル第二短篇集。

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 

5「断裁処分」藤脇邦夫 著(ブックマン社)

誰が最後に「本」を救うのか。 読みだしたら止まらない!
謎だらけの出版業界の仕組みをリアル過ぎる筆致で描いた、今までにない出版業界小説!
一寸先は闇の出版業界から、そろそろ足を洗いたいと思っている出版社、書店、取次会社、エージェント、作家ほかすべての関係者へ。
その決断は、この本を読んでからにしてください。

断裁処分

断裁処分

 

 

6「陳寿三国志』 2017年5月 (100分 de 名著) 」渡邉義浩 著(NHK出版)

3世紀の中国では、魏・蜀・呉が天下を三分して覇を競った。小説『三国志演義』には英雄や豪傑が鎬を削る様子が描かれるが、実際は「名士」と呼ばれる知識人層の活躍も大きかった。正史として書かれた『三国志』を『演義』と比較しながら、動乱の時代の史実に迫っていく。

陳寿『三国志』 2017年5月 (100分 de 名著)

陳寿『三国志』 2017年5月 (100分 de 名著)

 

 

7「みかづき森絵都  著(集英社

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。
胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。

みかづき

みかづき

 

 

8「BUTTER」柚木麻子 著(新潮社)

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕た女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

BUTTER

BUTTER

  

9「世界文学大図鑑」ジェイムズ キャントン 著(三省堂

ギルガメシュ叙事詩』から、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』まで、古今東西の「世界文学」の主な潮流を、豊富な図版を用いてわかりやすく案内。本編100編あまり、各時代ごとにさらに200を超える作品を紹介している。いわゆる「必読書リスト」ではなく、読者を次の一冊へと誘う本。

世界文学大図鑑

世界文学大図鑑

10「貘の耳たぶ」芦沢央 著(幻冬舎

自ら産んだ子を自らの手で「取り替え」た、繭子。常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たちの行方は…。切なすぎる「事件」の慟哭の結末。渾身の書き下ろし!

貘の耳たぶ

貘の耳たぶ