本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10 2017.05.14

総合部門のランキングです。 

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八重洲ブックセンター本店調べ(4月30日~5月6日)

 

1「ストレスオフ組織のつくり方」恒吉明美 著(扶桑社)

社員が戻れる“複数の居場所”作りこそが、互いを認め、逆境を乗り越える唯一の鍵だった!?フリーターから80億円企業を作った筆者が語る、ストレスオフ組織のつくり方を一挙公開!ストレスマネジメントのヒント満載。部下を持つあなたへの必読の一冊。 

ストレスオフ組織のつくり方

ストレスオフ組織のつくり方

 

 

2「ワシントン緊急報告 アメリカ大乱」吉野直也 著(日経BP社

「予測不能」の指導者トランプ。ベテラン政治記者がワシントンを起点に全米を歩いて総力取材した、渾身のレポート。 

ワシントン緊急報告 アメリカ大乱

ワシントン緊急報告 アメリカ大乱

 

 

3「女性を可愛く美しく撮るための究極メソッド」HASEO 著(玄光社) 

女性を可愛く美しく撮るための究極メソッド (玄光社MOOK)

女性を可愛く美しく撮るための究極メソッド (玄光社MOOK)

 

 

4「企業のリスクを可視化する事業性評価のフレームワーク」山内基弘 著(きんざい)

M&Aや事業再生などコンサルティングの現場で培ったビジネス・デュー・ディリジェンスの方法論を敷衍して、地域金融機関の法人渉外担当者が企業の事業性を見極めるための勘所を明示。
金融機関や事業会社のセミナーで人気のトップコンサルタントが、実践的な目利き力向上策について具体例を示しながら丁寧に解説。

企業のリスクを可視化する事業性評価のフレームワーク

企業のリスクを可視化する事業性評価のフレームワーク

 

 

5「儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」ケント・ギルバート 著(講談社

日本人に「自虐史観のアホらしさ」を気づかせてくれたのはアメリカ人だった……ベストセラー連発、日本人より日本文化を深く知っているケント・ギルバートの新境地!

 

6「捨てられる銀行」橋本卓典 著(講談社

「金融検査マニュアル」は廃止、地域の顧客にリスクをとれない銀行は消滅する!新しいビジネスモデルが求められる時代に生き残る銀行とは?金融マン、経営者必読のスクープレポート!

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

 

 

7「どんな人でも、ペタッと前屈!」谷けいじ*1  著(永岡書店)

体をスムーズに動かせるようになることを、著者は「動作を鍛える」と言っています。
その動作の中で一番大切な動きが前屈。
体の後ろ側、特に太もも裏の筋肉=ハムストリングスの柔軟性をつけることが、
健康&美しい体になることのいちばんの近道なのです。
1日たった数分、体を動かして自由に柔らかく動ける体を作ることが、健康に美容に繋がります。
開脚本がよく売れていますが、開脚は横側に脚を鍛えていくもの。
前屈は後ろと前を鍛えていきます。人は、歩く際に前後の動作をするので、
体を鍛えるには前屈のほうが理にかなっています。

簡単に鍛えることができる効果の高い健康本として「前屈」に特化した1冊です。

 

どんな人でも、ペタッと前屈!

どんな人でも、ペタッと前屈!

 

 

8「考え方~人生・仕事の結果が変わる」稲盛和夫 著(大和書房)

「人間として正しいことを正しいままに貫くこと」「どんな境遇にあっても、ひたむきに人間を磨くこと」がもたらす素晴らしい未来を熱く語り、一度きりの人生を、真に実り豊かで輝かしいものにするための要諦を伝える。
これから就職を目指す人、社会に出る人から経営者まで、人生の目的に迷うとき、生き方に悩むとき、心が晴れないとき、支えになってくれる一冊

考え方~人生・仕事の結果が変わる

考え方~人生・仕事の結果が変わる

 

 

9「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱」呉座勇一 著(中央公論新社

室町後期、京都を戦場に繰り広げられた内乱は、なぜあれほど長期化したのか。
気鋭の研究者が戦国乱世の扉を開いた大事件を読み解く。

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

 

 

10「あの会社はこうして潰れた」帝国データバンク情報部藤森徹 著( 日本経済新聞出版社

誰もが知る「あの企業」はなぜ倒産してしまったのか?
「真実は小説よりも奇なり」。破綻の裏側には想像もしないドラマがある!

経理部長の自死、反社会勢力の介入、跡継ぎの背任、複雑な不正取引、警察の手が及ばないグレーゾーン、現存するナニワ金融道の世界など、実際に見てきた企業信用調査マンが明らかにする! 

 

 

*1:1986年生まれ。福岡大学スポーツ科学部卒。パーソナルトレーニングジム レブルス代表。大学卒業後は、イチロー選手や三浦知良選手のトレーナーとして有名なオリンピックトレーナーのもとに半年間住込み、技術を磨く。

深海生物の「なぜそうなった?」がわかる本

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深海の生物が捕獲されたというテレビ番組が放送され話題となりました。

『ザ!鉄腕DASH!』でTOKIO城島茂と山口達也が幻のサメ生け捕り 強運に驚きの声|ニフティニュース

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その影響もあってか、在庫確認の問い合わせが寄せられた本があります。

「深海生物の「なぜそうなった?」がわかる本」北村雄一 著(秀和システム

光迷彩をもつホタルイカ、逆立ち泳ぎをするシーラカンス、目が退化したクジラウオ、消化器も口も肛門さえももたないガラパゴスハオリムシ…。本書では特にこの2点、
・深海生物の摩訶不思議な姿形のワケ
・深海でどのように生き残ってきたかのワケ
にフォーカスし、イラストを使ってわかりやすく解説していきます。
さまざまな科学論文を調査し、ネットでは得られない深海生物の情報を、
200点近いイラストでとことんていねいに解説していますので、
深海生物ファンには見逃せない一冊です。

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難しい科学の世界を子どもにもわかるように絵解きをするのが、科学番組担当者の腕の見せ所です。その知恵袋の一つが専門家による絵解き図鑑。入荷してもなかなか買い手が付かない一般書店と違って、ここではこの手の新刊は必ず動くのです。書店員は自信を持っ断言しました。

深海生物の「なぜそうなった?」がわかる本

深海生物の「なぜそうなった?」がわかる本

 

 

 

 

3年でプロになれる脚本術

ハリウッド映画の脚本術は「ヒットのための黄金律」をまとめたものでした。セオリーを分析した”ゲーム攻略本"のようなものです。一度ハリウッド流の脚本術を読んでしまうと映画の見方が180度(悪い方に)変わってしまうので注意した方が良さそうです。いっぽう、日本の脚本術は脚本家に「なろう」とする人のための本のようです。

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「3年でプロになれる脚本術」尾崎将也 著(河出書房新社

大ヒットドラマの脚本はどうやって生まれるのか。人気脚本家が体験をもとに初歩から応用までの技術を惜しみなく綴る初の脚本指導書。

「3年で」ということは、一年や二年の修行ではプロになれないことを意味します。知人の脚本家は一人前になるまで10年間かかりました。それも師匠となる脚本家に"書生"のように付くという修行をしてのことです。才能のある脚本家の中には一発で認められる人もいますが、 注文を切らすことなく仕事を続ける脚本家は、ほぼ例外なく若い頃から下積み生活を続けた経験を持つています。テレビ番組の制作現場も同じようなものです。仕事を進める上での決まりやしきたり、簡単なルールの説明はありますが、肝心な仕事は習うのではなく、慣れるように現場で学ぶのです。

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現場で七転八倒しながら身につけるスキルをまとめた”指導書”が最近増えています。インターネットの動画チャンネルが増えたため、コンテンツが慢性的に不足しているという背景があるかもしれません。誰もが簡単に動画制作ができるようになった事情があるのかも知れません。コンテンツを求めるメディア側と、コンテンツを作りたいと考えるクリエイター予備軍の需給関係が大きく変化しているのでしょう。

"師匠"を持たない作る側の人たちにとって頼りになるのはマニュアルしかありません。ただ、マニュアルは料理の献立表のように、この通りやれば料理ができるという類いのものではありません。脚本とは設計図をもとにつくる"再現"ではないのです。

ですから、この本のターゲット層は初心者ではなく、ある程度経験を積んだ若手制作者です。これまでの行いを顧みて、自分に足りない部分とはなにか考える人が、ヒントを得るために読むべき本なのです。

脚本家と仕事をうまく進めるために、委託側に立つ制作者も手に取るはずだ・・・と、書店員は売れ行きに期待を寄せています。

3年でプロになれる脚本術

3年でプロになれる脚本術

 

 

あてなよる 簡単・絶品おつまみ帖

番組が放送されると引き合いが増えるので、番組ガイドが手放せないのがこの書店の特徴です。

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「あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖」大原千鶴 著(NHK出版)

人気料理研究家・大原千鶴さん 初のおつまみ本!
NHK BSプレミアムの人気番組『あてなよる』待望の書籍化。料理研究家・大原千鶴さんによる、酔っていてもつくれるほど簡単なのに絶品の「あて(おつまみ)」レシピを紹介する。そのレシピにマッチするお酒を、日本を代表するソムリエ・若林英司さんが提案。「あて」と「酒」とのマリアージュが、酒呑みたちを夢の世界に誘う! 

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最近人気を集めている本は、料理研究家が酒の肴をつくるという本。三度三度の食という必需品ではないところがミソ。ちょっと贅沢な気分が味わえるところが人気の秘密なのかも知れません。

あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖

あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖

 

番組ホームページを訪れると肴の作り方が載っています。 f:id:tanazashi:20170516175446j:plain

酒場放浪記がヒットして、飲み歩く番組が増えてきました。


www4.nhk.or.jp

 

お笑い芸人&作家又吉直樹さんの新作「劇場」発売。

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小説「火花」で芥川書を受賞したお笑い芸人の又吉直樹さん。「火花」は累計300万部を突破しました。又吉さんの新作長編小説「劇場」が11日(木)単行本として発売されました。

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サイン会を終えたばかりの又吉さんのインタビュー番組などが放送されることもあり、書店の目玉は「劇場」に絞られました。

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テレビでは、又吉さんは二作目のプレッシャーがあったと語っています。「二作目が勝負ですねといわれたりして、いろいろな人に応援され、あれも応えたい、これも応えたいと考えていると、みんなの意見をちゃんと実現しようと思ったら、そんな小説はないと。途中で気づいたのですが、僕はそもそもみんなから愛される人間ではなかったなと」

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普段本を読まない人が本を手にしてくれるのが、こうした話題作が発売されたときです。読むことに面白さを発見した人が次々に増えていくことを期待したいと思います。

週間ベスト10 2017.05.09

ランキングです

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東京堂書店神田神保町店調べ(5月9日)

 

 

1「みみずくは黄昏に飛びたつ」川上未映子村上春樹 著(新潮社) 

ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、 そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字 におよぶ、「作家✕作家」の金字塔的インタビュー。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

 

 

2「映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景」Sunborn 著(ソリレス書店)

http://www.sunnyboybooks.jp/wp-content/uploads/2015/06/7c05b41d5bdca46a5e0e12c8183beda4-660x275.jpg

この雑誌は、個人的にミニコミ誌「映画酒場」を発行している月永理絵さん(32)が、映画関連サイト「LOAD SHOW」などを運営するSunbornに持ちかけた企画で、同社にとっては初の紙媒体となる。

「極端な話、映画と酒が好きという動機だけで十分におもしろい。とりあえずは季刊を想定しているが、理想としては毎月の発行を目指したい」と同社の岡本英之さん(36)。【手帖】雑誌「映画横丁」が創刊 - 産経ニュース

 

https://www.facebook.com/eigayokocho/

twitter.com

映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

映画横丁 第4号(2017.春) 特集:日本酒のある風景

 

 

3「筒井康隆コレクションVI美藝公」筒井康隆 著(出版芸術社) 

日本最大の産業が映画という世界を描いた「美藝公」北海道にソ連軍が攻めてきた―!?「歌と饒舌の戦記」ほか実験的小説「上下左右」(イラスト:真鍋博)や「クラリネット言語」など貴重な短篇やエッセイを併録。表題作に横尾忠則の美麗イラストを再録した豪華選集!

筒井康隆コレクションVI美藝公

筒井康隆コレクションVI美藝公

 

 

4「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀 著(株式会社ゲンロン)

否定神学マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

5「勉強の哲学 来たるべきバカのために」千葉雅也 著(文藝春秋

人生の根底に革命を起こす「深い」勉強、その原理と実践。勉強とは、これまでの自分を失って、変身することである。だが人はおそらく、変身を恐れるから勉強を恐れている。思想界をリードする気鋭の哲学者による本格的勉強論。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 

6「暗い時代の人々」森まゆみ 著(亜紀書房

大正末から戦争に向かうあの「暗い時代」を、翔けるように生きた9つの生の軌跡を、評伝の名手が描き出す!

満州事変勃発から太平洋戦争終結にいたるまでの、あの「暗い時代」。その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろうか。この本の中でわたしが書いたのは、最も精神の抑圧された、1930年から45年の「暗い時代」に、「精神の自由」を掲げて戦った人々のことである〉(本書まえがきより)

【目次】
第1章 斎藤隆夫 リベラルな保守主義
第2章 山川菊栄 戦時中、鶉の卵を売って節は売らず
第3章 山本宣治 人生は短く、科学は長い
第4章 竹久夢二 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
第5章 九津見房子 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリス
第6章 斎藤雷太郎と立野正一 「土曜日」の人々と京都の喫茶店フランソア
第7章 古在由重 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
第8章 西村伊作 終生のわがまま者にしてリベルタン 

暗い時代の人々

暗い時代の人々

 

 

7「中動態の世界 意志と責任の考古学」國分功一郎 著(医学書院) 

自傷患者は言った「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」。依存症当事者はため息をついた「世間の人とは喋っている言葉が違うのよね」
――当事者の切実な思いはなぜうまく語れないのか? 語る言葉がないのか? それ以前に、私たちの思考を条件付けている「文法」の問題なのか?
若き哲学者による《する》と《される》の外側の世界への旅はこうして始まった。ケア論に新たな地平を切り開く画期的論考。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

 

 

8「辺境図書館」皆川博子 著(講談社

最期の日まで、本に溺れる。小説の女王が耽読した、妖しくも美しい本の数々。書き下ろし短編「水族図書館」も収蔵。

辺境図書館

辺境図書館

 

 

9「最愛の子ども」松浦理英子文藝春秋

“パパ”日夏、“ママ”真汐、“王子”空穂。わたしたちの心をかき立てるのは、同級の女子高生三人が演じる疑似家族。時代を切りひらいて来た作家、最新にして最高の傑作!

最愛の子ども

最愛の子ども

 

 

10「人みな眠りて」カート ヴォネガット 著(河出書房新社

ヴォネガット、最後の短編集! 冷蔵庫型の彼女と旅する天才科学者、消えた聖人像事件……没後に初公開された珠玉の短編16篇。

人みな眠りて

人みな眠りて

 

 

一汁一菜でよいという提案

売れ行きが堅調なジャンルといえば料理のレシピ本です。ネットにも献立情報が溢れかえっていますが、ネットで話題を集めた出版物がヒットするなど、この分野は"ウインウイン"の関係が続いているように見えます。

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一度にまとめてつくって数回に分けて食べる忙しい人向けの献立。生活習慣病にお悩みの方向けの栄養バランスを考えた献立。手間をかけずにつくれる簡単便利な献立。痩せたい人向けの低カロリー献立。最近のレシピ本は機能ごとにまとめられ献立が人気です。時代とともに人気を集める献立のテーマはへんかしているので、料理本コーナーのはやり廃りを眺めると日本人の暮らしの変化が見て取れるような気がします。

最近の傾向として気になるのが表紙を飾る献立の華やかさです。カラフルな食欲をそそる食材が並ぶさまを見ると現代の食事はファッションと言わんばかりに見えてきます。

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見た目重視の"レシピ本"ブームにあえて背を向ける本が、レシピ本コーナーに登場し、料理番組制作者の注目を浴びました。

「一汁一菜でよいという提案」土井善晴 著(グラフィック社)

著者の土井善晴さんは家庭料理の第一人者であった土井勝次男の料理研究家です。

日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。
何も気負う必要はありません。
基本となる食事のスタイルを持てば、生活に秩序が生まれます。気持ちに余裕もできて、そこから新たな暮らしの楽しみが生まれるのです。

長年にわたって家庭料理とその在り方を研究してきた土井善晴氏が、
現代にも応用できる日本古来の食のスタイル「一汁一菜」を通して、
料理という経験の大切さや和食文化の継承、
日本人の心に生きる美しい精神について考察します。

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ページを開くと並んでいるのは野菜を炊いたり、刻んで和えただけの質素なおかず、そして具沢山の味噌汁ばかり。しかし、簡単に見えても丁寧につくられた料理の表情を眺めていると自然に心が和んでくるような気がします。

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「一日一日、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる暮らしのリズムをつくること。その柱となるのが、一汁一菜という食事のスタイル」という料理研究家の提案は、毎日のくらしを楽しむことの意味を教えてくれます。

 

みそ汁というのは、濃くても薄くても、全部おいしく出来上がるわけです。これは、私が作らなくても、誰が作っても、みんなおいしくできるんです。

お料理を作る人が食文化を担ってきた人です。

手作りの味、私たちの理想でもあり、時に心の負担にもなってきました。毎日続けていくためには、品数や体裁にこだわらず、できる範囲でもっと自由に楽しんでもいい。

一汁一菜に1分料理動画!食卓“簡単”進化論 - NHK クローズアップ現代+