本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#松原一己「特急マーク図鑑 列車を彩るトレインマーク」

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「特急マーク図鑑 列車を彩るトレインマーク」松原一己 著(天夢人)

小さな出版社が届けてくれる本には、大手出版社にない特徴があります。

それはこだわりであり、愛情です。

鉄道マニアの間で知られるサイトに「トレインマーク事典」というサイトがあります。

nihonkai.exp.jp

運営しているのは宮城県大崎市日本海ファクトリーというデザインとステッカーの会社です。

切り文字やステッカーの技術を利用して表札などの制作をしている会社ですが、

イラストレーターの松原一己さんがこれまで手がけた特急マークを集めて本にしました。

想像する余白が多い分ーだけ見ているだけで列車に乗って旅に出た気分になる本です。

 

「こちら秘書室」公認 接待の手土産 2018-2019

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「「こちら秘書室」公認 接待の手土産 2018-2019」ぐるなび「こちら秘書室」編集室 編(日本経済新聞出版社

知恵袋はいくつ持っていても助かるものです。

最新版が登場しました。

取材先に行くときちょっとした手土産を持って行くと話がスムーズに進むときがあります。

「年配の著名人にお宅にお邪魔するとき、気をつけるのが奥さんに気に入られることだ」と、ベテランディレクターが語っていました。

「地位の高い人はえてして気むずかしい人が多い。しかし、そんな人の世話をしているのは長年連れ添った奥さんで、奥さんには顔が上がらない人が多いのす。だからなにかあったとき時、奥さんが仲介してくれると話がうまくいくことがある。つまり保険になってくれるのです」というのです。

では持って行くお土産の切り札は?と聞くと、「夜の梅」という返事が返ってきました。

年配の人には日持ちのする和菓子がよさそうです。

 

#ステファニー・ガーバー「カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女」

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「カラヴァル(Caraval) 深紅色の少女」ステファニー・ガーバー 著、西本かおる 翻訳(キノブックス)

2018年の本屋大賞受賞作品の追加注文が入荷しました。

本屋大賞に翻訳部門賞があり、その中で一等賞になった作品です。

売れる翻訳書といえばミステリーが多い印象をうけます。この本はファンタジー

本屋大賞を受賞した作品はほとんど映像化されますが、洋書はどういう扱いを受けるのか気になります。

 

#後藤広喜「「少年ジャンプ」 黄金のキセキ」

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「「少年ジャンプ」 黄金のキセキ」後藤広喜*1 著(ホーム社

少年ジャンプの部数を支えた一読者でした。

後藤広樹編集長の名前は「トイレット博士*2の中で見つけた記憶があります。

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漫画家にとって編集者はパートナーだと思っていましたが、実は恐怖の存在であることを漫画家は面白おかしい存在として描いていたのです。

「マガジン」「サンデー」に遙かに及ばない格下の少年誌だった少年ジャンプはその後爆発的に部数を伸ばします。

しかし「下品なマンガ」の中でいじられまくった鬼の編集長がその影の主役だったとはいまだに信じられずにいます。

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「ヘタな書評を書こうものなら鉄拳制裁されそうでチョット恐いです(笑)」と、『そしてボクは外道マンになる』の平松伸二さんが週刊文春の書評欄で書いていたように

「『少年ジャンプ』支えた主役は、言うまでもなく漫画家とその作品だ。」とまえがきで断言する筆者の熱い思いが垣間見える著作です。

あわせて読むと、知られざる作家と編集者の関係を垣間見ることができるかもしれません。

 

*1:1945年山形県生まれ。東京教育大学(現筑波大学)卒。1970年に集英社に入社。「週刊少年ジャンプ」編集部へ配属。1986年から1993年まで同誌編集長を務め、生え抜き編集長第一号となった。集英社取締役、創美社(現・集英社クリエイティブ)代表取締役等を歴任

*2:とりいかずよし

#伊藤まさこ「美術館へ行こう: ときどきおやつ」

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「美術館へ行こう: ときどきおやつ」伊藤まさこ 著(新潮社)

ミニマリストとはものを持たない生活。

スッキリした空間のなかで生活するのはカラダが軽くなる気がするからかもしれません。 

モノが売れなくなった時代です。

売れなくなったというよりも、大量消費されなくなった時代なのでしょう。

自分がほしいモノや、使い勝手やデザインに新鮮な驚きをかんじたモノは、それでも売れます。

蔦屋銀座店がオープンしたとき、増田宗昭社長は「最後の砦の商品が、美術やアートです」と語っていたのが印象的です。

美しいものに出会うと自分の気持ちがリセットされることはよくあります。

時間を見つけて新たな発見の旅に出たいものです。

 

#NHK取材班「なぜ、わが子を棄てるのか―「赤ちゃんポスト」10年の真実」

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「なぜ、わが子を棄てるのか―「赤ちゃんポスト」10年の真実」NHK取材班 編(NHK出版)

 

「幸ちゃんは2歳 たった一人で海を渡った」というドキュメンタリーがあります。

熊本市中央区にある児童養護施設 慈愛園に入所してきた、

幸ちゃんという二歳の女の子を追ったドキュメンタリー番組です。

幸ちゃんは生後2日で熊本の病院前に置き去りにされたところを保護され、この施設で育てられました。

しかし、施設には二歳になったら児童養護施設か里親の元に引き取られなければならない決まりになっています。

幸ちゃんはアメリカ人夫婦のもとに引き取られることが決まり、それまで世話になった施設のスタッフと別れる場面が描かれます。

子どもの人生を思い浮かべると、児童遺棄というものの罪深さが心に刺さります。

 平成3年度の文化庁「芸術作品賞」受賞作品です。

youtu.be

 

東洋経済が選んだ旬の本 2018.05.12

東洋経済のブックレビューです。(2018年5月12日)

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1 「議員内閣制」高安健将 著 (中央公論新社

 

2 「共謀」 ルーク・ハーディング 著 (集英社

 

3 「植物は未来を知っている」 ステファノ・マンクーゾ  著(NHK出版) 

 

3 「もうゴミの島と言わせない」 石井亨 著(藤原書店)

「ミミズの養殖を騙った産廃の不法投棄」の容疑で業者が摘発されたのは1990年のことでした。それから豊島の産廃事件が一応の決着を見るまで10年。さらに持ち込まれた産廃が撤去されるまで17年の歳月がかかりました。

あれだけ世間を騒がせた当事者。業者の氏名はどのメディアにも掲載されていません。不思議です。

www.teshima-school.jp