本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#ナショナル ジオグラフィック「科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相」

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「科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相」ナショナル ジオグラフィック 著(日経ナショナルジオグラフィック社)

トイレを流すと、北半球と南半球とでは渦の向きが逆になるとよく聞きます。

事実、民放のクイズ番組で検証番組が放送されているのを見た記憶があります。

ところが、「一見、もっともらしいが実は間違っている」と本書は一刀両断。目からウロコがこぼれ落ちた気持ちになりました。

巷に流布している俗説は疑って見る。

情報が氾濫する今だからこそ、信頼できる情報源を見極める姿勢が問われます。

癖を持つことが大切だと言うことを実感させられる本です。

 

#桑名由美「YouTube完全マニュアル」

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YouTube完全マニュアル」桑名由美 著(和システム)

売れていそうで売れていなかった本。

放送局の書店で今売れているのがネット動画の作り方を解説する本です。

とはいっても自分たちが作るというわけではありません。

人が作ったコンテンツを評価するためには、ネット動画の作り方を知らなくてはならないからです。

 

高価な映像・送出設備を持たずとも、動画を撮影・編集して世界中に配信できるネット動画の世界。

小学生のなりたい職業に「ユーチューバー」の名前が上がるほど普及するまでになりました。

意外かもしれませんが、ネット動画の事情に疎いのが放送局の人たちです。

放送という規格の中で、質実ともにそれなりの水準に適合した映像コンテンツを出すためには定格にあった機材を使い、工業製品のように安定したコンテンツをつくらなくてはならないからです。

困ったことに放送局の人たちには自負があります。

放送局の人たちは「YouTube」を筆頭としたネット動画は「素人臭すぎる」と上から視線で見がちです。

ネット動画はプロの世界とは違う・・・と観ている内に、様々なクリエィターや商業広告の世界で普及が進み、「気がつくと置いてきぼりになっていた」とようやく気がついたのが今なのかもしれません。

 

#「アニメ 攻殻機動隊 名言集」

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「アニメ 攻殻機動隊 名言集」(講談社

草薙素子の"あら。そう?"から始まるファン待望の名言集。

構成は"人生論"から始まり、"内省・情動・哀愁"、"組織論"、"希望・それぞれの未来へ"の4章になっています。

攻殻機動隊の名言を広く知らしめたのがこのシーン。

原作のコミックが持つ味わいを残しつつ、押井守監督が描いたラストシーンです。

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主人公が語る「ネットは広大だわ」という言葉は、若年層が中心だったアニメの視聴者層を拡大し、年代を超えてファンの心を掴みました。

公開当時はスマホも普及していない時代で、今のようなネット社会が形作られる前でした。

ネットの先に無限の可能性がある。

人間の意識というものも広大なネットの中で永遠に生き続けることができるのではないか。

そう考えた人も少なくなかったと思います。

 

観る者に強力な世界観を提示するのがこの映画の魅力です。

私の好きなのが

「孤独に歩め。悪をなさず、求めるところは少なく。林の中の象のように。」(イノセンス)。

もともと仏陀の言葉。「真理のことば」【第二三章 象 】が出典です。

「聡明な伴侶を得られるのなら共に歩め。聡明な人と歩めないのなら一人歩め。愚かなものを道連れとするな。孤独に歩め、悪を為さず。求めるところは少なく、林の中の像のように」

シーン中では省略された前段を読むと、

また違った世界観が広がってくるところに映画の深みを感じます。

#森岡知範「東京の巨大地下網 101の謎」

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「東京の巨大地下網 101の謎」森岡知範ほか 著(宝島社)

コミック「亜人」のクライマックスで、主人公が死闘を演じた場所は首都東京の地下世界でした。

劇場版「パトレイバー2」では地下鉄新橋駅の脇にある空間が舞台の一つとなりました。

数えてみれば切りがないほど、東京の地下は映像作品の舞台として欠かせない存在になっています。

パイプや通路や階段が縦横無尽に通る迷路のような空間はダイナミックなアクションシーンの舞台となる、印象的な空間だからといえます。

こうした地下空間は、一般の人たちが簡単に見学することができません。

いわば秘密の場所であるだけに、私たちの想像力をかき立てる知られざる秘境といえるのでしょう。

立ち入り禁止の場所を訪ね歩いた貴重な記録がこの本。

もちろん放送局員にとってはロケハンの参考書籍。

いつかこの中のどれかがドラマの舞台として私たちの前に登場するかも知れません。

 

#山口真一「炎上とクチコミの経済学」

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「炎上とクチコミの経済学」山口真一 著(朝日新聞出版)

新聞やテレビを賑わす炎上事件。

ネットの世界に関わりがない人から見ると「大変なことが起きている」ように感じる話題は、ふだんネットに接している人から見ると日常茶飯事のありふれた風景なのだそうです。

「それはたとえて言うと、中東・イスラエルで、毎日のようにイスラエル軍空爆を受けているアラブ側のくらしに似ている」と外国経験豊かな記者から聞きました。

「近くに爆弾が落ちても騒いでいるのはたいてい知識人や指導者層であり、繰り広げられる非難合戦は炎上そのもの。炎上事件に関わるのがネット社会の知識階級である点が似ている」というのです。

炎上事件に関わる人の多くは、「バカなヒマな人」「社会的弱者」という印象がもたれがちですが実は「年収が高い」「主任・係長クラス以上」だといいます。

許せないことをうやむやにせず、正義感から炎上に参加して鬱憤を晴らすところがよく似ています。

限定された炎上が飛び火をするとネットの話題に無関係な人たちを巻き込むことがあります。

近くに爆弾が落ちても騒がない。騒げない。逃げられない人たちを巻き込むリスクから、「年収が高い」「主任・係長クラス以上」の人たちは目をそらし続けています。

 

【ブックレビュー】話題の本・週刊エコノミスト2018.9.18

エコノミスト2018年9月18日号レビュー欄で紹介されたビジネス書。

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「決定版 銀行デジタル革命: 現金消滅で金融はどう変わるか」

※結果変わらず現金が勝つというシナリオは残念。

「これは水です」

※ほんの少しばかり謙虚に成り、じぶん自身とじぶんの確信にすこし『批判的な自意識』をもつこと・・・と説いた。

「日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち」

※企画力の劣化を露骨に感じるテレビにあふれる「ニッポンすごい」番組。お為ごかしで視聴率を取ろうとする姿勢はどこかの独裁国家と変わらない。そのことを気付かせられる本。

「Date of DATE 伊達公子の日」 

【ブックレビュー】BOOKS&TRENDS・週刊東洋経済2018.9.15

週刊東洋経済2018年9月15日号BOOKS&TRENDSで紹介された本です。

 

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「現代2 安定成長期から構造改革期(1973-2010) (岩波講座 日本経済の歴史 第6巻)」

「近代と現代の間: 三谷太一郎対談集」

自民党本流と保守本流 保守二党ふたたび」

「デス・バイ・アマゾン テクノロジーが変える流通の未来」