本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#烏賀陽百合「しかけに感動する「京都名庭園」: 京都の庭園デザイナーが案内」

f:id:tanazashi:20181016161541j:plain



 

「しかけに感動する「京都名庭園」: 京都の庭園デザイナーが案内」烏賀陽百合 著(誠文堂新光社

 

本書は、京都在住の庭園デザイナー・烏賀陽百合氏による、見どころのひとつとして「しかけ」に注目して庭園を楽しむ指南書です。

 

 

秋の観光シーズンを迎えた京都は宿を取るのも一苦労。

神社仏閣の拝観料もピークを迎えるのがこの季節です。

本書を見て思い出したのが島根県安来市にある足立美術館です。

外国人観光客が押し寄せる人気の美術館としてテレビでも紹介されています。

横山大観など所蔵する日本画の魅力もありますが、観光客を惹きつける秘密は庭園にあると言います。

足立美術館を陰で支えるのは大勢の庭師たち。庭師の仕事は日々の掃除や樹木の剪定に止まらず、四季折々の表情を見せる庭園の演出にも深くかかわる仕事を担っているのだと言います。

庭木一本の植え替えにも、植え替えに耐えうる樹木を探しに日本中を駆け回る労を惜しまないのだともいうのです。

 

そうしたストーリーを頭に入れるだけで、訪れた時に目に入る景色も途端にドラマチックな物語の主人公に見えてきます。

庭園を構成する石組や植栽などを観察し、作庭家や歴史の背景に想いを馳せると、美しさだけではない、そこから伝わる仏教思想と、壮大な宇宙観を感じることができます。
庭園には歴史、文化、芸術、造園など、すべてが詰まっているのです。まるで庭園は生きたアートのよう。季節によっても表情が変わりますし、昨日と今日でも感じ方が全然違うのです。

庭園のデザインという仕事を続けるうちに著者が耳にした物語には、一見の旅行客には伺うことができない驚きがあります。

その一旦を知ることで、一味深い楽しみに出会える気がします。 

本物を自分の目で見ることの価値は観客自身の意識の中にあるのです。

 

 

【ブックレビュー】話題の本・週刊エコノミスト2018.11.20

エコノミスト2018年11月20日号レビュー欄で紹介されたビジネス書。

f:id:tanazashi:20181112141558j:plain

 

サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル」

iPod特許侵害訴訟 アップルから3.3億円を勝ち取った個人発明家」

「没イチ パートナーを亡くしてからの生き方」

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 」 

【ブックレビュー】BOOKS&TRENDS・週刊東洋経済2018.11.17

週刊東洋経済2018年11月17日号BOOKS&TRENDSで紹介された本です。

 

f:id:tanazashi:20181112140616j:plain

 

「プラットフォーム・レボリューション PLATFORM REVOLUTION 未知の巨大なライバルとの競争に勝つために」

「日本の税金」

「超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編」

「サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う」

【ブックレビュー】週刊ダイヤモンド2018.11.17

天狼院書店店主三浦崇典さんが選んだ ビジネス書です。

週刊ダイヤモンド2018年11月17日号

f:id:tanazashi:20181112132359j:plain

 

 

「ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望」

マッキンゼーで学んだ感情コントロールの技術」 

「99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100」

ビジネス書ベストセラー2018.11.17

週刊ダイヤモンド2018年11月17日号に掲載されたビジネス書ベストセラーです。

f:id:tanazashi:20181112134011j:plain

 

1.「学びを結果に変えるアウトプット大全」

2.「1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365」

3.「1分で話せ」

4.「「すぐやる人」と「やれない人」の習慣」

5.「できる人は必ず持っている一流の気くばり力」

6.「スタンフォード式 疲れない体」

7.「大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる」

8.「日本アホバカ勘違い列伝」

9.「会社四季報

10.「amazon 世界最先端の戦略がわかる」

#安田菜津紀「写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-」

f:id:tanazashi:20181016163423j:plain



 

「写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-」安田菜津紀 著(日本写真企画)

 言葉は時に、人の心を追い詰め、切り刻むほどの威力を持ちえてしまう

よその国の大統領は、自分の敵か味方かをはっきりと分けて喋ります。

「あいつは敵だ」「俺は正しいことを言っている」

何を言っているのかがわかりやすい。

瞬間に理解できる言葉は、かなりの人に自分と同じ意見を持っている人だと錯覚を起こさせます。

でも大統領は本当の現場に立って物事を見つめてはいません。

なぜなら、現場には敵も味方も入り交じり、善も悪も一筋縄では判断ができない混沌の中にあるからです。

弱い立場にいる人を置き去りにしないために

事実とは一体何か、その答えにたどり着こうとジャーナリストたちは現場に向かい、事実の破片を一つ一つ拾い集めます。 

著者の安田菜津紀さんも現場に魅せられた人の一人です。彼女はペンの代わりに写真という道具を使って混沌の正体を写し取っていきます。

 

言葉は時に、人の心を追い詰め、切り刻むほどの威力を持ちえてしまう。けれどもまた、たった一つの言葉で、越えられる夜がある。何気ない言葉で、「生きたい、生きたい」と心が呼吸しはじめる。
 日々接する言葉の数はおびただしい。まるで巨大なホースから噴き出す水を、直に飲もうとしているようだ、と飛び交い続ける情報を前に思う。だからこそ一度立ち止まり、深呼吸し、心を柔らかくできるような言葉にゆっくりと手を伸べる。そんな温かな場所をこれからもそっと、守りたいと思う。

言葉の力を信じています | 安田菜津紀の写真日記 | 安田菜津紀 | Webでも考える人 | 新潮社

yasudanatsuki.com

 

言葉に踊らされる前に、自分の目で見て考えよう。そんな気持ちにさせてくれる本です。 

 

#堀江敏幸「その姿の消し方」

f:id:tanazashi:20181016163730j:plain

 

「その姿の消し方」堀江敏幸 著(新潮社)

堀江敏幸*1の作品は、フランスでの生活が長かった方に人気があります。学生時代パリ郊外で暮らした著者は、自分の足で歩き、自分の目で見た体験を作品に散りばめています丁寧に描写された空気や臨場感に共感するからかもしれません。

 

*1:1964年生まれ、岐阜県多治見市出身の小説家。早稲田大学第一文学部フランス文学専修を卒業し、1989年にフランスに留学。その時の経験を随筆風に綴った『郊外へ』を白水社の雑誌『ふらんす』に連載し、1995年に単行本化され、小説家デビューを果たた