本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

年末年始に読みたい・エンタティンメント

店頭の10冊(12月8日紹介)のうち3冊が入れ替わりました。 

「スキンコレクター」は、首から下が麻痺した元刑事・リンカーン・ライムが相棒のアメリアと衝突を繰り返しながら事件を解決していく「ボーン・コレクターシリーズ」の最新刊。毒で刺青を彫り人を殺す犯人と戦うミステリー。

「魔女の封印」も『魔女の笑窪』『魔女の盟約』に続く、人気ミステリー『魔女』シリーズ第3弾。現実世界には存在しない特殊能力の持ち主が活躍する物語です。

特殊な存在を物語の中に投げ込むことで、従来とは違う反応を起こさせる作者お得意の手法が、予測のつかない展開を生み出すことにつながっている。残酷で不公平な世の中で、辛くも保たれている秩序を守るため、リアリストである水原(本作のヒロイン)が下す決断は壮絶だ。週刊文春2016.01.14

年末年始は放送局にとって特番の季節です。番組制作や放送に携わる技術スタッフはてんてこ舞いですが、記者系や事務系を中心にまとまった休みが取りやすくなることもあり、エンターティンメント系の書籍に人気が集まります。一人で数冊まとめ買いする人もいるそうです。

放送局の人は放送を見るより活字や映画などほかのメディアをチェックする傾向が強い気がします。(かくいう私も自宅でテレビを見ることは激減しました)

さて、三冊目の池澤夏樹さんは、芥川賞作家(「スティル・ライフ」88年)ですが、文芸批評や評論など幅広く活動する文化人です。徹底して「辺境」から日本や世界を見続けてきた池澤さんのファンは、放送局にも少なくありません。最近もテレビマンユニオン制作の「日曜美術館」に出演されたり、NHKのドラマ化(最終的に局側の事情とかでボツになる)を巡って異議申し立てするなど、テレビ屋にとっては怖いような頼れるような存在です。

中心から見るのが当たり前といった風潮の今だからこそ、視点を変えてみないと重要なテーマが見えてこないのもまた事実です。列島の各所を自ら歩き、「日本」そのものを科学的に思索した名エッセイに人気が集まりそうな予感がします。