「このマンガがすごい!2016」(宝島社)のオンナのキーワードはBLです。
BL=ボーイズ・ラブとはマニア向けのジャンルと言われています。保守的な男性から見るとBLは「際物」で、愛読する女性は「腐女子」とも呼ばれています。
そんな話を敬愛するアニメ番組の女性プロデューサーにしたところ、一笑に付されました。彼女によると、「BLファンは作者の意図した世界や人間関係をまったく別の視点で再構築します」というのです。
彼女たちはおもしろい本を嗅ぎ分ける臭覚があります。あさのあつこ氏、三浦しおん氏とかを初期の頃支持したのは彼女たちだったといいます。作中にBL的な要素を発見して意図的に読み違えて楽しんでしまうのは、高度の読書力があることの証といえるのではないでしょうか。
コミックの世界でもオノ・ナツメ氏や雲田はるこ氏などが知られています。才能ある作家の発掘をもくろむ編集者たちが密かに狙いをつけるのもBL作家というのもうなづけます。
審美眼に優れた女性読者の視線にさらされ、作品的にクオリティが高い「女性漫画家」の作品群にはお宝発見の楽しみがあります。
- 「ヲタクに恋は難しい」ふじた著(一迅社)
- 「東京タラレバ娘」東村アキコ著(講談社)
- 「町田くんの世界」安藤ゆき著(集英社)
- 「塩田先生と雨井ちゃん」なかとかくみこ著(イースト・プレス)
- 「宇宙を駆けるよだか」川端志季著(集英社)
- 「逢沢りく」ほしよりこ著(文藝春秋)
- 「オデットODETTE」日当 貼著(フレックスコミック)
- 「女の友情と筋肉」KANA著(星海社)
- 「新装版 親なるもの 断崖」曽根 富美子著(宙出版)
- 「プリンセスメゾン」池辺 葵著(小学館)
ランキングには入っていませんが、よしながふみ氏の「きのう何たべた」を読み始めました。同棲中のゲイカップルの日常を描いた話題作です。オンナ編で話題となるコミックスには男性同士の友情を超えた愛情をテーマとした作品も少なくありません。
私のような男性読者にとって女性作家の作品は別次元の驚きがあります。
追補
曽根富美子氏の画風はこちらを参照ください。