本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

プロデューサーに向いているのはスケベな文学青年

放送局の書店ならではの売れ方です。「シネマの極道」

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「プロデューサーに向いているのは、スケベな文学青年」・・・返答に窮します。

刺激的な内容が同業者の共感を得るのでしょうか、東映ヤクザ映画黄金時代を担ったプロデューサーの半生記が売れています。

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一般書店のランキングには顔を出しませんが、当店では三回補充してもまだ売れ行きが鈍りません。ドラマ関係の人だけでなく音楽やスポーツ、報道関係の担当者にも広く読まれているからなのでしょう。

著者の日下部五朗さんは1934年生まれ、早大卒業後、57年東映に入社し、京都撮影所のプロデューサーになり数多くの映画製作に携わっています。本書はそんな日下部さんの映画製作部分の自叙伝ともいえるものです。

 ページをめくると豪快な発言の嵐です。

  • 「プロデューサーに向いているのは、スケベな文学青年」
  • 「こんなん当たるかい、松竹に売ってこい」
  • 共産党も何党もあるかい、わしらは大日本映画党や。ドロボーでも何でも、映画が好きなやつはわしんとこへ来い」
  • 「日下部、この題で撮れい、撮ったれい!」

ネットの反響に振り回される最近の番組プロデューサーがこんなことを言ったらセクハラ・コンプラ・偏向パワハラで即アウトです。カネを巡っては塀の上を落っこちずに歩ける人だったのかもしれません。「いいぞ!もっとやれ!」なんて言葉に乗せられた日にはたちまち仕事がなくなります。古き良き時代の人でしたと遠くから見ると面白いのです。

裏を返せばそれだけ作る環境が変わってきたということでしょう。評価はお客さんの入り次第なのですが。

 

書評から

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