書店戦国時代といわれてます。だから選書にはすごく気を遣います。
選書は書店の売り上げに直結します。客層にあわせて本を仕入れることにつきるのですが、様々なしがらみから書店が希望する本だけ並べる訳にも行きません。書店の裏側をのぞかせてもらいました。
書店員の仕事は開店前、届いた荷物の仕分けから始まります。
台車に積みきれないほどの段ボール箱が入荷します。
箱の中には新刊書や文庫、雑誌や雑誌の付録などが雑多に詰め込まれてています。
手際よくカッターで梱包を解いて行きます。
同封された伝票と配本を照らし合わせ店頭に並べる本を判断します。
付録を雑誌に包み込んだり、棚に並んだ売れ行きの鈍った本と入れ替えたりするのも書店員の仕事です。開店までの短時間にこなさなくてはならないので肉体的にもかなり大変です。版元に返品する本と配本されたものの書店側が必要なしと判断した本は、空き箱に入れて送り返します。
ここでちょっとお勉強
本の流通は出版社・取次・書店の三者によって成り立っています。
そのため書店が希望してもその通りに配本される訳ではありません。
「新刊をどの書店に何冊くらい配本するか」という流通を担うのは取次です。
取次は過去の書店の売り上げデータをもとに各書店に配本します。
ここでいう書店とは世の中一般の書店のことを意味するため、配本された内容を見ると
「この店で売れるはずの本が僅かしか置いていない」などということがおこります。
逆に
「この店では売れないジャンルの本が入っていた」ということもあります。
ふつうの小売店では、仕入れた商品は買い取り、売れなかった商品は小売店の在庫となります。在庫が増えると死活問題です。
しかし、出版業界では買い取りという仕組みはありません*1ので、書店は原則として自由に返品できます。
売れないジャンルの本は返品します。さらにその書店でしか売れない本を別途注文していくことで欲しい本の数を増やしていくのです。
書店という限られたスペースに必要とされる本をそろえて行くには選書に力を入れざるを得ません。返品は気持ちのいいものではありませんが、選書にかける手間や努力の積み重ねが書店の個性をつくると書店員は考えています。
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*1:一部の買い取り契約を除く