本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

単行本も"鮮度が命”の緊急発売

芥川賞直木賞が店頭でそろい踏み

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書店員が平台を大幅に入れ替えています。芥川賞直木賞のタイトルが目に飛び込んできました。

 授賞式はついこの間。芥川賞は一般書籍として流通するにはまだ早いはず・・・

芥川賞は雑誌掲載だったはずですね」と聞くと、

「『異類婚姻譚』は20日発売。『死んでいない者』も本日緊急発売になりました。今朝方届いたばかりです」という答えが返ってきました。

直木賞はすでに書籍化されていますが、芥川賞は受賞から一定期間たったところで単行本化される場合がふつうで、きわめて異例です。

版元の文藝春秋のサイトを見ると、

第154回芥川賞受賞作『死んでいない者』(滝口悠生)電子版を緊急配信!

株式会社文藝春秋 電子書籍編集部では、1月28日、第154回芥川賞受賞作を収録した単行本『死んでいない者』(滝口悠生)の電子版を緊急配信します。単行本と同時発売になります。(1月22日プレスリリース)

 とあります。著者のツイッターでは2月の予定とありますので、出版社の尋常ならざる力の入れ方がわかります。

滝口悠生 on Twitter: "謹賀新年。「死んでいない者」の単行本が2月はじめ頃に文藝春秋より刊行となる予定です。
https://t.co/H3c6dwMZ7S"

書店の売れ行きを聞くと、かなりの手応えだそうです。「火花が売れすぎたのでその反動が怖い」といいながら、書店員は在庫を気にしています。

異類婚姻譚」が残部僅少。「つまをめとらば」は先行して発売されたため緩やかな売れ方のようです。

電子書籍版とあわせて発行するところに出版側の危機意識とネット時代の流れの早さを感じます。読者側からすると、欲しいものがたやすく手に入ればいいだけの話なのですがね。