本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

じぶん?の大賞

ひらがな表記は難しいものを優しく感じさせる効果があります。急いで読むと読み間違うことがあります。ゆっくり読んで欲しいと書店が「誉めたい本」がこの本なのでしょう。

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紀伊國屋書店で「紀伊國屋じんぶん大賞2016 読者と選ぶ人文書ベスト30」フェアが開催されています。

 

今年で第6回目を迎えた「紀伊國屋じんぶん大賞2016」は、優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたいというねらいで設立された賞です。

2014年12月~2015年11月に刊行された「哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、批評・評論」のジャンルから選ばた本です。

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記念小冊子が配布されてたので手に入れました。

「じんぶん」のモンダイを語る~2015年の人文書を振り返ってと題された斎藤哲也吉川浩満山本貴光三氏の鼎談は読み応えのあるガイドになっています。

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「トマ・ピケティの経済書が13万部を突破するベストセラーになったことは、それだけの人が「読まなければ」と思うほど、格差のモンダイが差し迫ったものになっているということですよね」

「短期的な利得にばかり頭を使って長期的な展望をないがしろにする風潮には、それはそれとして名前をつけて分析した方がいい」

宣伝のチラシと軽く見たら大違い。人文書に寄せられる期待と果たす役割は大きいことがわかります。WEBサイトには掲載されていないので書店で手にとって読まれることをオススメします。無料。

◆「紀伊國屋じんぶん大賞2016 読者と選ぶ人文書ベスト30」
【大賞】 『断片的なものの社会学』岸政彦、朝日出版社
【2位】 『数学する身体』森田真生、新潮社
【3位】 『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』大澤聡、岩波書店
【4位】 『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』武田砂鉄、朝日出版社
【5位】 『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』小熊英二岩波新書
【6位】 『はたらかないで、たらふく食べたい――「生の負債」からの解放宣言』栗原康、タバブックス
【7位】 『本を読むときに何が起きているのか――ことばとビジュアルの間、目と頭の間』ピーター・メンデルサンド、フィルムアート社
【8位】 『戦後入門』加藤典洋、ちくま新書
【9位】 『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』松本卓也青土社
【10位】 『民主主義ってなんだ?』高橋源一郎×SEALDs、河出書房新社
【11位】 『帳簿の世界史』ジェイコブ・ソール、文藝春秋
【12位】 『仏教思想のゼロポイント――「悟り」とは何か』魚川祐司、新潮社
【13位】 『不穏なるものたちの存在論――人間ですらないもの、卑しいもの、取るに足らないもの』李珍景、インパクト出版会
【14位】 『反知性主義――アメリカが生んだ「熱病」の正体』森本あんり、新潮選書
【15位】 『暴力の人類史(上・下)』スティーヴン・ピンカー、青土社
【16位】 『寺院消滅――失われる「地方」と「宗教」』鵜飼秀徳、日経BP
【17位】 『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください――井上達夫法哲学入門』井上達夫毎日新聞出版
【18位】 『食人の形而上学――ポスト構造主義的人類学への道』エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ、洛北出版
【19位】 『哲学な日々――考えさせない時代に抗して』野矢茂樹講談社
【20位】 『日常に侵入する自己啓発――生き方・手帳術・片づけ』牧野智和、勁草書房
【21位】 『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』國分功一郎(監修)、KADOKAWA
【22位】 『堕ちゆく者たちの反転――ベンヤミンの「非人間」によせて』道籏泰三、岩波書店
【23位】 『モラル・トライブズ―― 共存の道徳哲学へ(上・下)』ジョシュア・グリーン、岩波書店
【24位】 『具体性の哲学――ホワイトヘッドの知恵・生命・社会への思考』森元斎、以文社
【25位】 『私の1960年代』山本義隆、金曜日
【26位】 『日本精神史(上・下)』長谷川宏講談社
【27位】 『残響のハーレム――ストリートに生きるムスリムたちの声』中村寛、共和国
【28位】 『奴隷のしつけ方』マルクス・シドニウス・ファルクス/ジェリー・トナー(解説)、太田出版
【29位】 『神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性』マルクス・ガブリエル、堀之内出版
【30位】 『ドゥルーズ 常軌を逸脱する運動』ダヴィッド・ラプジャード河出書房新社