本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

おあとがよろしいようで

若い女性に落語ブーム。ドラマ「赤めだか」や映画「の・ようなもの のようなもの」、マンガ「昭和元禄落語心中」など様々な媒体で落語が取り上げられ、更にイケメンな若手落語家も続々登場と、落語ブームがやってきたように見えます。

f:id:tanazashi:20160229160906j:plain

放送局の書店の芸能コーナーも落語本のスペースが増えました。

 

放送局員だけでなく、出演される噺家さんが立ち寄られることが多く、あんまり落語本が少ないと出演者に対して粗相にあたると書店側が配慮したため(?)でしょうか。

f:id:tanazashi:20160229161206j:plain

棚ざしでもなく、面陳でもなく、今一番注目を集めているのが「現在落語論」立川吉笑 著(毎日新聞出版)です。著者は「デザインあ」(NHK Eテレ)へのレギュラー出演や、異業種のゲストを招き即興で落語を創作するイベント「吉笑ゼミ。」の開催など、独自の活動で注目を集める立川談笑門下の二ツ目・立川吉笑さん。独演会チケットがすぐに売りきれる立川談笑師匠の一番弟子です。

なにがすごいかというと、この本のタイトルがすごい。故・立川談志師匠が50年前に書いた「現代落語論」と一文字違いのタイトルだからです。本家取りとでもいいましょうか、いい根性ですね。でも中身を見ると、現在の「落語」の特徴や利点がロジカルに綴られています。

吉笑さんは、警鐘を鳴らします。

「落語が『漫才』と同じような道をたどりそうなのは、たしかである。」

今後、場合によっては、徒弟制度が崩壊し、伝統が失われてしまうのではないか?

そんな危うさを感じておられます。

立川流は「前代未聞メーカー」であるべき


立川流=前代未聞。

「なんでするの?」

「できっこない!」

「ありえない!」

当時はそう思ったことが、いつの間にかスタンダードに。

流行のように見える伝統話芸の裏側を知るには興味深い一冊です。

談志師匠は「落語とは業の肯定」という言葉を遺しています。