本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

ネット古書購入の罠

書店に並んだ本の表紙を見つづけていると本に対する関心が深まります。懐具合と相談しながら、手に入れるべき本は手に入れます。店頭に並んでいない本は近くの新古書店で捜します。しかし、新古書店は在庫が微妙なので、ネット古書店を利用することも増えました。

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先日紹介しました、艸葉よしみ氏の「科学にすがるな!」をネットで発注。注文から一週間して落手しました。購入価格は498円+送料300円の計798円。

剥がし損なったラベルを見ると1,260円で売られていたようです。本探しの簡便さと購入の手軽さから、ネットでの古書えらびはお得な気がします。

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さて、さっそくページを開きます。リアル書店では目次を見て買うという手順を踏みますが、ネット古書の場合は中身を見るわけに生きません。そのあたりはばくち的な要素がからんできます。「物理では人間はわからない。宇宙に死の答えを求めるな、死の意味を自分に問うな」と答える宇宙物理学者に対してフリーの編集者が食い下がるという不思議な本です。

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艸葉よしみ氏は1958年京都市生まれ。大学文学部を卒業後フリーの編集者を永らく続けてこられた手練れです。9.11後、科学精神の看板の中核であった系統的懐疑主義が科学という業界の中から発信されなくなっていることへの危機感が動機で綴られたとあります。「大丈夫なのか?」と問われると、「うーん心配だ」と私も感じます。

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内容は対談形式で続けられます。わかりにくいところには挿絵も入っているので、若い読者を意識して綴られているのかもしれません。

さて、困ったことになりました。外見は新刊同然でしたが、前のオーナーの気まぐれでしょうか、こんな罠が掛けられていました。

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本を扱う新古書店では、買い取りの際一応中身を確認して取引価格を決めると聞いたことがありますが、すべてに眼が届かないことがわかりました。

多少の書き込みがあっても書かれていることが悪くなるわけではありません。要は気分の問題です。ネットで手に入れるリスクをあらかじめ想定して注文する。それがいやなら新刊を版元などから手に入れる。購入側の割り切りも価格に含まれているのかもしれません。