手塚治虫文学賞が決まりました。マンガ大賞は「鼻紙写楽」と「よつばと！」の２作品が受賞しました。２作品とも書店では取り扱っていない書籍（コミック）です。制作系の放送局員には相当の知見を持つ読者がゴロゴロいます。売り場面積が少ないことなどから、コミックをほとんど置けないのが残念です。
「鼻紙写楽」の著者は一ノ関圭氏です。寡作で知られる作家さんで、本作も短編として発表してきた作品を再編集したものです。「このマンガがすごい」を紹介する中で、本作を知り読み始めましたが、絵がめちゃめちゃうまい。舞台は江戸中期の歌舞伎小屋です。賄賂政治家として知られた田沼意次を違った視点から捉えたストーリーも興味深く、画面の隅々を味わいながら読み進む楽しみがあります。
「よつばと！」の著者はあずまきよひこ氏。アニメ風の人物でのんびりとした日常を描く作風の作家として知られています。「あずまんが大王」はテレビアニメにもなりました。視線が低く、日常生活の一コマをするどい観察眼で切り取る作風は、ドキュメンタリーづくりに一脈通じるところがあります。
鼻紙写楽 [ 一ノ関圭 ]
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