本屋は燃えているか

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けっこう売れています。

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気分転換に読むにはミステリーが最適です。直木賞候補の三崎亜記氏の読み切り中編小説「ニセモノの妻」。著者の三崎亜記氏は久留米市在住の作家です。久留米市役所職員の傍らで、「となり町戦争」の執筆をはじめ第17回小説すばる新人賞受賞、第18回三島由紀夫賞候補、第133回直木賞候補となり、作家デビューをはたしました。本作は特殊な感染症に罹ると、その人間のクローン(ニセモノ)が出現する世界でおきる超常現象ですが、夫婦関係を考え直す視点が効いています。

「言葉の中に隠された暗号を読み解き、その魔力を味わう」というオビのコピーがなんとも蠱惑的なのが「うた合わせ 北村薫百人一首」。「短歌など別の世界の趣味と敬遠している人に読んでほしい」と書店員が前に押し出したところ、積んだ山が削られて残部僅少になりました。置き方により売れ方が変わるところが、書店商売の醍醐味なのだと自慢げです。

 

「ニセモノの妻」三崎亜記 著(新潮社)妻――それはいちばん近くて、いちばん不可解なアナザーワールド。「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」。ある日、六年間連れ添った妻はこう告白し、ホンモノ捜しの奇妙な日々が始まる……。真贋に揺れる夫婦の不確かな愛情を描く表題作ほか、無人の巨大マンションで、坂ブームに揺れる町で、非日常に巻き込まれた四組の夫婦物語。奇想の町を描く実力派作家が到達した、愛おしき新境地。

 

「うた合わせ 北村薫百人一首北村薫 著(新潮社)短歌は美しく織られた謎…言葉の糸をほぐして隠された暗号を読み解き、確かな読みで、その魔力を味わう―独自の審美眼で結ばれた現代短歌50組100首、総数550首を収録。前代未聞のスリリングな短歌随想。