アラハンの本が売れています。
アラハンとは「アラウンド・ハンドレッド」、100歳前後の高齢者のことをいいます。
放送局でも人生の達人の方々は貴重なスターといってもいいかもしれません。
インタビューだったり対談であったりと、功なり名を遂げた著名人の肉声を記録するのも放送局の重要な使命だからです。
ご高齢の方が多いので事前の取材をしっかり積み重ね、要領よく話を聞き出すのがポイントです。最近は自伝を活字にまとめられる方も増えているので、記録をもとに資料の掘り起こしなど周辺取材に力を振り分けられるので、番組としても質の高いものが増えているように感じます。
都内の大型書店にはアラハン本のコーナーもお目見えしています。
「自分のままで暮らす」98歳の家事評論家・吉沢久子さんの著書。「いくつ歳を重ねても、その歳にならないと、わからないことがある。そう思うと明日を生きるのがもっと楽しみになる」とサブタイトルが打たれています。
101歳の笹本恒子さんは日本初の女性報道カメラマンです。「好奇心ガール、いま101歳: しあわせな長生きのヒント」。『徹子の部屋』『あさイチ』『おはよう日本』『ニュースウォッチナイン』『ラジオ深夜便』などでも紹介されました。
50万部のヒットとなっているのが美術家・篠田桃紅さん103歳の「一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い」(幻冬舎)です。「いつ死んでもいいなんて嘘。生きている限り人生は未完成」「意に染まないことはしない。無理もしない」と語ります。
そのほかにも、アラハン本は数多く出版されています。「老後破産など、先行きが不透明なくらしが広がるなかで、歳を重ねた先人の言葉が道しるべになっているんでしょう」と、出版担当の話にあるように、読者の多くは40代以上の女性たちだそうです。
「ひとりは安らぎ感謝のとき」梅木信子 著(KADOKAWA/角川マガジンズ)
「百歳の力」篠田桃紅 著(集英社)
「111歳いつでも今から」後藤はつの 著(河出書房新社)
「107歳、生きるならきれいに生きよう」嘉納愛子 著(潮出版社)
生きているだけでも大変な上に、しっかりしたものを書けることは奇跡的としか思えません。