本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

声優になりたい人は持つべき本

声優養成所に通っている人はほぼ全員持っていて、

これから声優になりたいという人には、たぶん必要になるものがあります。

ヒントは、高野麻里佳と高橋李依と長久友紀による日本の声優ユニットが教えてくれます。

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「それが声優!」 〔歌:イヤホンズ(高野麻里佳/高橋李依/長久友紀) 作詞:あさのますみ

「人生は甘くない 夢だけじゃ生きていけないよ
だけどどんなに無謀な賭けでも やっぱり大好き
さあ準備です 台本 のどあめ アクセント辞典
向かいましょう スタジオへ!・・・」 

番組制作の最終盤、編集が終わったビデオにナレーションや台詞を吹き込んだり、効果音などを入れて音声部分の調整をすることをMA(マルチオーディオ)作業といいます。

放送局の中にもいくつかMAスタジオがあり、有名どころの声優さんたちが出入りする姿をよく見かけます。アフレコ(セリフ収録)の合間に、イントネーションを確かめるため使うのがこの「日本語アクセント辞典」です。

辞典といっても単語の意味が書いてあるわけではありません。そのかわり「抑揚を示すサイン」が振ってある変わった辞典です。

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昭和の頃はやったナイト「クラブ」と、平成の若者たちに親しまれる「クラブ」の違いを思い浮かべてください。声優だけでなくアナウンサーや役者さん、外国人留学生の間でも必需品です。地方出身の人にとって、自分がいかに訛っているかが気になる場合があるようで、こっそり買って帰って練習することもあるようです。

編集を行っているのは「NHK放送文化研究所*1」です。

ラジオ放送がはじまったころ、話し言葉としての日本語は、全国でさまざまなものが使われていました。原稿を読むアナウンサーの発音・アクセントもひとによってまちまちであったようで、放送開始当初から、音声面での日本語を整えてもらいたいという意見が寄せられていました。そして1943(昭和18)年に、初めての放送用のアクセント辞典が出されました。当時「放送文化研究所」はまだできていませんでしたが、日本放送協会内に放送用語を専門に扱う部署があり、ここで時間をかけて編集したのです。

アクセント辞典は、一度作ったらそれで終了、というわけにはいきません。言葉は常に変化しています。1943年、1951年、1966年、1985年、1998年と4回の改訂作業が重ねられました。16年ぶりに改訂された最新版がまもなく発売されます。

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見出し語は6000字増の約7万5000語。使用頻度の高い地名のアクセントも充実させた。変わりゆく日本語の発音・アクセントを的確に捉えた必携版!
言葉は生活に合わせてどんどん変化していきます。その変化に身を委ねるのか、それとも伝統的な読み方を墨守すべきか。その間の立たされている伝え手は状況に応じて使い分ける能力が求められています。

*1:放送内容に関するさまざまな研究、日本および海外各国の放送事情調査、それに視聴者の意向を把握する世論調査など「豊かな放送文化を創造する」という公共放送の持つ目的の実現に向け、昭和21年に設立されたう世界に類を見ない、放送局が運営する総合的な放送研究機関