本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

恐怖の裏側

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制作系の放送局員のほとんどは「ドラマ制作志望である(らしい)」と聞いたことがあります。したがって映画監督に関する本はそこそこ売れます。観客目線というのではなく、「自分だったらどう作るか」という意識が若干あるので、あくまでも物作りの考え方や手法が詰まった本に限られます。制作者側からすると「マニアとは違うよ」という声が返ってきそうですが、書店員からみるとその境目はよく分からないのだそうです。

 

週明けの新刊棚にお目見えしたのはムックのように見えますが、洋泉社の単行本

ジョン・カーペンター 恐怖の裏側 (H‐HO ViSUAL BOOK)」ジョン・カーペンター

です。ホラー・SF・アクションなどのB級映画の巨匠であり、 “マスター・オブ・ホラー”の異名を持つジョン・カーペンター監督を崇拝する制作者はかなり多いと思われます。

74 ダーク・スター
76 要塞警察
78 ハロウィン
78 アイズ
79 ザ・フォッグ
79 ザ・シンガー
81 ニューヨーク1997
82 遊星からの物体X
83 クリスティーン
84 スターマン 愛・宇宙はるかに
84 フィラデルフィア・エクスペリメント
86 ゴースト・ハンターズ
87 パラダイム
88 ゼイリブ
90 レッド・テキサス
92 透明人間
94 マウス・オブ・マッドネス
95 光る眼
96 エスケープ・フロム・L.A.
98 ヴァンパイア 最期の聖戦
01 ゴースト・オブ・マーズ

ジョン・カーペンター映画の誰も見たことがない秘蔵メイキング現場スチール、350点超を完全収録。ジョン・カーペンター映画のスタッフ・キャストによる貴重証言で初めて明かされる、スネーク・プリスケン、マイケル・マイヤーズ仰天誕生秘話! 映画秘宝が贈る、『ON SET WITH JOHN CARPENTER』完全日本語翻訳版!

低価格であっというまに一本撮ったり、ホラー映画のジャンルを確立させたり、音楽まで自分で作ってしまったり、それでいて監督自身のメッセージを臭わせない、いわば職人監督です。放送番組の教科書とはとうていにならないところに制作者は魅力を感じるのかもしれません。

 

週明けのビジネス書ベスト5はご覧の通りです。

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順位は入れ替わったものの、顔ぶれに変化は見られません。安定的に売れているというのは褒め言葉。力のある新刊本が出てきていないというのが書店員のホンネです。

  1. 「大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる」井堀利宏 著(KADOKAWA/中経出版
  2. 「幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII」岸見一郎 著(ダイヤモンド社
  3. 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」岸見一郎 著(ダイヤモンド社
  4. すべての仕事は「肯定」から始まる」丸山俊一*1 著(大和書房)
  5. 共同通信ニュース予定2016」一般社団法人共同通信社編集局予定センター 編(共同通信社

 

 

 

 

*1:1962年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。甲府放送局、衛星放送局、制作局教養番組部ディレクター、文化・福祉番組部チーフ・プロデューサーなどを経て、現在、編成局エグゼクティブ・プロデューサー。早稲田大学東京藝術大学明治学院大学で非常勤講師を歴任。社会学、映像論など講義する