本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

科学的思考のツボとは

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今日の一冊は「WHAT IF」。「仮に」と問いかけるタイトルは私たちがなにげなく見過ごしてきた常識の足下を大きく揺さぶります。この本の信用を裏書きしてくれるのが福岡ハカセこと福岡伸一氏のオビ文です。すばらしい質問はすばらしい回答を呼び寄せる。そんな期待感が表紙から漂ってきます。

人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の光は変わる?お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?こうした突拍子もない思いつきも、理系思考をこらして検討すれば、そこからは驚くべき結論が導き出され、何よりその結論は笑える!元NASAの研究者が物理と数学とマンガで読者の疑問に全力を挙げて答える、人気のマンガ科学解説サイトを書籍化したベスト&ロングセラー、待望の邦訳。

テレビ番組の企画ネタのヒントが満載です。しかし、実現するには規模が大きすぎて、たぶん実現できないネタばかり。しかし「もしも」と考え続けることが新しい世界を開く上で大切なことばだということがわかります。

 

福岡伸一氏は書店にとって恩人のような存在です。科学者でありながら文章の達人として知られ読書家でもあります。週刊誌に連載中のエッセイを読んで著書を手に取られる読者も多く、その資質を見抜いた大手書店(ジュンク堂のことです)は福岡ハカセの奨める本というフェアまで開いてしまったほどです。

帰宅途中に立ち寄った蔦谷家電(東京・二子玉川)でもこんなコーナーができていました。(画面下部は同時開催中の小泉今日子推薦本です)

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理科系の本だけでなく、若冲やテグジュペリ、須賀敦子などの名前が見えます。

「福岡ハカセの本棚」福岡伸一 著(メディアファクトリー)の巻末には上記の本も含めた推薦本のリストがありますので、福岡ファンはぜひお手にとってご確認ください。

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