天気も良かったので、聖地・神田神保町まで行ってきました。
東京メトロA7出口から外に出ると古書店が建ち並ぶ通りがすぐそこです。
本ブログの週間ベスト10でお世話になっている書店です。
本の街神保町の中でも120余年の伝統を誇るのが東京堂書店神田神保町店です。建築自体は古いものの外装はリノベーションされ若返りました。おちついた緑の色彩が歩道にマッチしてさながらヨーロッパの街並みのようです。
街行く人の視線を楽しませてくれるのが大きく開口した窓ガラスの外装です。店の中まで見通せそうです。(店内が暗めに照明されているので日中は視線がそれほど届きません)そのショウウィンドウを使って飾られているのは週間ベストセラーの書籍です。
生活実用書とかムック本などが並ぶ、私が住んでいる街の本屋さんとはだいぶ雰囲気が違います。
新書ベストセラーの1位は「白骨の処女」森下雨村著(河出書房新社)
乱歩世代の最後の大物の代表作。謎が謎を呼び、クロフツ風のアリバイ吟味が楽しめる、雨村探偵小説の最高傑作の初文庫化。
写真左から
2位「考え方のコツ」松浦弥太郎 著
3位「あなたの英語勉強法がガラリと変わる 同時通訳者の頭の中 」関谷英里子 著
4位「闇の女たち: 消えゆく日本人街娼の記録」松沢呉一 著
ちなみに新書ベストセラーのリストは同店のサイトを見ても掲載されていませんので直接店まで見に行く必要があります。
通りに面したウインドウの中には喫茶コーナーがあります。画面を上にたどると喫茶コーナーがのぞき見えることになるので、そのまま左に視線をずらす数多くの本が面陳されたコーナーが見えてきます。
店内では常時フェアが開催されていて、書店が特に力を入れる企画がこの場所を見るとわかる仕組みです。
ちょうど今開かれているのは現代詩のトップランナー・吉増剛造*1氏の自選エッセイ集『GOZOノート』全3巻の刊行を記念したフェアです。「コジキの思想」「航海日誌」とインパクトのある装丁の著作が目をひきます。
「現代詩」の塊のような本を、道行く人に呼びかける書店は、たぶんそんなに多くないでしょう。
街場の書店ではあまり見かけることのない本は、私の空っぽの頭に何かいいものを注ぎ込んでくれるような気がしました。
*1:現代日本を代表する先鋭的な詩人の一人として高い評価を受けている。『黄金詩篇』『王國』などの初期作品では、エクスクラメーション・マークを連打した疾走感あふれる詩を多数発表した。中期以降は読点とリーダーを多用しての、ポリフォニー的構造を持った独特の文体へと移行している。詩の朗読パフォーマンスの先駆者としても知られ、海外でも積極的に朗読ライブを開催している。自身の詩と組み合わせたパノラマカメラや多重露光を多用する写真表現、彫刻家若林奮との共同制作による銅板を用いたオブジェ作品、映像作品の制作など、領域横断的な創作活動を展開している。吉本隆明は「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは田村隆一、谷川俊太郎、吉増剛造だ」と評している。野村喜和夫や岸田将幸をはじめとした後続の現代詩人たちに強い影響を与えているほか、古川日出男、堀込高樹(キリンジ)、朝吹真理子らにも影響が及んでいる。