本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

安く売れる本

数日限定の廉売フェアを始めます。売り場はロビーです。というので行ってみると「バーゲンブック」という広告が目に入ります。本のバーゲンセールです。

f:id:tanazashi:20160617173752j:plain

雑誌や書籍は定価販売が守られています。「再販売価格維持制度」という決まりがあるからです。だから私たちはどこでも同じ価格で本を買うことができます。「値引き販売はできません」と思っていました。

ところが、価格が自由につけられる新刊本としての流通の仕組みがあるというのです。これはいったいなんでしょう。 

f:id:tanazashi:20160617173850j:plain

バーゲンブックの商品を手に取ると、定価:本体1600円+税の横にあるバーコードを隠すようにシールが貼られています。価格は580円税込みとあります(注:消費税5%時のもの)この580円がバーゲンブックの定価なのです。

実は新刊本の定価販売は出版社が定価を拘束”しても良い”のであって、出版社の意向でやめることもできるのです。

バーゲンブックは出版社が再販制度による価格拘束を外した、いわゆる「値引きができる新刊本」なのです。

バーゲンブックは通常の本として返品されてしまうのが一番困るわけで、それが防げればよく、バーコードなどの上にシールを添付するかたちで売られているのです。

手にとって見ると古書ではないことがわかります。

f:id:tanazashi:20160617173855j:plain

書店員に聞くと、出版社が市場に流通している本をバーゲンブックにすることはなく、基本的には「定価ではもう売れない本」をこうして売ってているんだとか。

つまり、一度新刊本として書店に並んだものの売れずに市場から姿を消した本。「見切り本」です。返品されたり在庫として出版社の倉庫に積まれたままの本を、出版社が買い切りを条件で売却したものなのだそうです。

バーゲンブックを専門に取り扱う業者の中には300万冊、1万5千タイトルの本を登録するところもあり、まだまだ読める本が格安で手に入れることができるのです。

絵本や生活実用系の本、たとえば料理や趣味の本など情報が古びないジャンルの本が多いような気がしますが、女性や中高年層には人気です。

返品された本が断裁されてゴミになるより、こうして消費者の手元に届けられる仕組みがある方がエコな気がします。