本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 

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福岡・丸善博多店調べ(6月26日~7月2日)

「ヤンキー化する日本」齋藤環 著(KADOKAWA/角川書店)は視点が面白い日本人論でした。反知性ではないけど、地頭のいいヤンキーは実学をめざすという見立てには共感できます。これまで手にしたことがなかった「物差し」を手に入れた実益感を感じました。笑ってしまったのが「ジブリのヒットの秘密は、ヲタクがつくってヤンキーが売るからうまくいった」という解説でした。そういえば3位に入った鈴木敏夫著「ジブリの仲間たち」の宣伝文にその匂いがかすかに漂っています。

 

1「言ってはいけない―残酷すぎる真実―」橘玲*1 著(新潮社)

進化論、遺伝学、脳科学の最新知見から、人気作家が次々と明かす「残酷すぎる真実」。読者諸氏、遺伝、見た目、教育、性に関する、口には出せない「不愉快な現実」を今こそ直視せよ!

言ってはいけない [ 橘玲 ]
価格:842円(税込、送料無料)


 

2「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え!」田村潤 著(講談社

大切なのは「現場力」と「理念」。
組織のなかでリーダーも営業マンもひとつの歯車として動いてしまうと、ますます「勝ち」からは遠ざかってしまう。そんなときこそ、「何のために働くのか」「自分の会社の存在意義は何なのか」という理念を自分で考え抜くことが、ブレイクスルーの鍵となる。必死に現状打破を求め続ける、すべての営業マンに送る本!


 

3「ジブリの仲間たち」鈴木敏夫 著(新潮社)

風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』etc…ジブリはなぜ常に予想を超えるヒットを生みだし続けることができたのか。そこには作品の力に加え、プロデューサーである著者と、仲間たちの力があった。「宣伝の本質は仲間を増やすこと」という思想の下、監督と激論を交わし、企業を巻き込み、駆けずりまわり、汗まみれになって体得してきた経験則とは―。秘話満載で綴る、三〇年間の格闘の記録。

ジブリの仲間たち [ 鈴木敏夫 ]
価格:907円(税込、送料無料)


 

4「夜を乗り越える」又吉直樹 著(小学館

芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」「人間とは何か」を考える。また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の創作秘話を初公開するとともに、自らの著作についてそれぞれの想いを明かしていく。「負のキャラクター」を演じ続けていた少年が、文学に出会い、助けられ、いかに様々な夜を乗り越え生きてきたかを顧みる、著者初の新書。

夜を乗り越える [ 又吉直樹 ]
価格:885円(税込、送料無料)


 

5「捨てられる銀行」橋本卓*2 著(講談社

森信親・金融庁長官が剛腕を揮う、金融改革とは何か。会議の一新。銀行を飛び越えて、取引相手の中小企業に銀行について徹底ヒアリング。金融検査マニュアルを実質廃止して、金融機関の事業性を評価する新基準。始まったばかりの改革の行く末と狙いを明らかにする。
森信親、金融庁長官の素顔。森長官が地銀から異例の一本釣りをして改革の担い手として抜擢した日下智晴氏の正体。地域金融のトップランナー、多胡秀人氏の信条。
金融検査マニュアルや信用保証協会の存在で、顧客を見なくなり、目利き力を失った金融マンの問題とは。ノルマ達成がメインだった人事評価を一変せよ!
稚内信金北國銀行きらやか銀行北都銀行など、改革をいち早く始め成果を上げた地域金融のケーススタディ

捨てられる銀行 [ 橋本卓典 ]
価格:864円(税込、送料無料)


 

6「世界史の大転換」佐藤優、宮家邦彦 著(PHP研究所

跋扈するIS、誰も予期できなかったトランプ現象、止まらない中国の軍拡…「歴史の終わり」どころか想定外の出来事が次々に起こる世界。その本質を理解するにはニュースの表層を追いかけるだけでなく、背後の因果・相関関係を見抜く本物の歴史的大局観が必要だ。本書では国際社会の表裏を知り尽くした二人のプロフェッショナルが、中東、中央アジア、欧州、アメリカ、中国とまさに地球を一周しながら、なぜいま世界史的な大転換期が到来しているのか、そこでとるべき日本の生き残り策は何かを鮮やかに解き明かす。世界情勢の核心が丸ごと理解できる、圧倒的な密度の一冊。

世界史の大転換 [ 佐藤優 ]
価格:885円(税込、送料無料)


 

7「京都ぎらい」井上章一 著(朝日新聞出版)

洛中千年の「花」「毒」を見定める新・京都論である。

 

8「本物の英語力」鳥飼玖美子 著(講談社

発音はハチャメチャと完璧の間を狙う。語彙を増やすためには、とにかく「たくさん」読む。文法がまちがっていると「教養がない」と思われる。好きなこと、関心があることで英語を学ぶ。など、話すための基本、難関の試験克服法など日本人が「英語の壁」を乗り超えるための新常識10を伝授。英語が苦手な人でも、本書を読んで「英語なんて簡単さ」と自信を持とう!

9「ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座」小宮一慶 著(ディスカヴァー・トゥエンティワン

経済の数字から、報道されない日本の現状と将来を見るには?決算書から、一目でいい会社を見分ける方法とは?数字が読める人と読めない人の小さな違いとは?絶対に譲れない数字力の四つの基本とは?世の中を読み解く鍵は「数字」にあり!あなたもいますぐ数字が読めるようになる90分養成講座。2008年3月初版発行で15万部以上のヒットとなった『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』の8年ぶりの第二弾でもある。


 

10「恥をかかないスピーチ力」齋藤孝 著(筑摩書房)

 新年度に自己紹介をしたり、結婚式やちょっとした集まりで人前で話したりする機会は意外と多い。そんな時に役立つ、スピーチやコメントのコツ、心構え。恥をかかないレベルから「なかなかうまいな」と思われるレベルまで、どうステップアップするか。「時間感覚」「身体感覚」の重要性、始まり方と終わり方、小ネタの集め方、シーン別のコツやNGポイントまで、人前で話す時にはこれさえあれば大丈夫!

恥をかかないスピーチ力 [ 齋藤孝 ]
価格:820円(税込、送料無料)


 

*1:作家。1959年(昭和34)年生まれ。小説『マネーロンダリング』(デビュー作)や『タッスクヘイブン』のほか、ノンフィクションや時評も手がけ、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』はベストセラーとなる。『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』『バカが多いのには理由がある』『「読まなくてもいい本」の読書案内』など、著作多数。

*2:共同通信社経済部記者。1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局にも勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年から2度目の金融庁担当で、地域金融を中心に取材