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講談社の3賞

7月20日に発表された講談社の3賞が発表されました。

第38回講談社ノンフィクション賞

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「つかこうへい正伝 1968-1982」長谷川康夫 著(講談社

時代を変えた天才演出家、つかこうへい。しかし、その真の姿が伝えられてきたことは、かつてなかった―。70年代の“つかブーム”を共にした著者が風間杜夫を始め関係者を徹底取材。怒涛の台詞が響き渡る“口立て”稽古、伝説の舞台、そして人間つかこうへいを鮮やかに描き出す!狂熱の演出家、唯一無二の評伝。

「口立て」を武器にしたつかは逆に文章表現が苦手な人だった。小説,エッセイの中身はほぼすべてが虚構という制作過程の秘話。中高年になった放送局員の中には、つか芝居に熱中したファンもかなりいます。小劇団華やかなりしころ、燦然と輝いていた演出家を別の角度から見る楽しみがあります。

 
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第32回講談社エッセイ賞は、 

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「言葉を離れる」横尾忠則 著(青土社

小説と画家宣言、少年文学の生と死、映画の手がかり…観念ではなく肉体や感覚の力を信じ続けてきた画家が、言葉の世界との間で揺れ動きながら、自伝的記憶も交えて思考を紡ぎ出す。

 「ユリイカ」の連載をまとめた一冊です。一見芸術家肌で気むずかしそうに見える横尾さんは番組出演が実は好きで、着眼点や簡潔明瞭な話ぶりとともに紀行や講演など快く応じていただくことから放送局員の好感度大の文化人です。エッセイの文体がそのことを物語っています。

 
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第32回科学出版賞は

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「ウィルスは生きている」中屋敷均 著(講談社

我々はすでにウイルスと一体化しており、ウイルスがいなければ、我々はヒトではない。それでは我々ヒトとは、一体、何者なのか?生命科学というパンドラの匣の中には、ぎっしりとウイルスが詰まっていた。果たしてかれらは生命なのか?人間は幾多の謎を解明できるのか?生命というミステリーの幕が開いた!『生物と無生物のあいだ』から9年、新たなる科学ミステリーの傑作が誕生!

どの世界でも当てはまるのですが、専門家は言葉の定義づけが非常に厳格です。その上、その世界の中で使われる専門用語が一般社会でもあたりまえに理解されていると思いがちです。そのことを自覚している科学者はそう多くなく、さらに平易で魅力的な文章に仕上げる人は貴重な存在です。福岡伸一さんなどが頭に浮かびます。講談社もたぶん意識しているのだろうと思います。ブルーバックスではなく現代新書から出されたということから、中屋敷氏に寄せる期待の程が伝わってきます。

 
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