本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

芥川・直木賞候補作品を丸ごと集めた棚作り

第55回芥川賞直木賞の受賞作が、今月発売の「文藝春秋」9月号、「オール読み物」9月号にそれぞれ掲載される予定です。

まだ作品を読まれていない方は雑誌に目を通されるのも正しい選択かもしれません。

もともと二つの文学賞は、書籍の販売が鈍る2月と8月の販売拡張効果も期待して企画されたものだといわれています。受賞作の話題で書店に立ち寄るお客様が増えれば、事実売り上げも伸びてきました。

この夏の目玉は芥川賞受賞作「コンビニ人間」です。一般書店でも平積みされています。放送局の書店でも手に取られる方が多く、品切れすることもあります。

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芥川賞は、文学誌などに掲載された作品が対象ですので、書籍化されていない作品もあります。今回は2作品「あひる」「短冊流し」がそれです。受賞作を含めた3作品は最近刊行されました。

直木賞は単行本の中から選ばれます。候補作は6作品。エンタメ、推理、歴史とジャンルは様々です。単行本の発行日が比較的近い芥川賞と違い、すでに書店に並んでいる作品も多いので、受賞後は完全に新規のお客さん目当ての売り方になります。「海の見える理髪店」は爆発的な売れ方ではないものの息が長く売れる印象があります。

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例年8月13日(土)から15日(月)は「輸送業者夏期統一休暇」が実施されます。要はトラックの運転手のみなさんの夏休みです。これに伴い「書籍」「雑誌」ともに発売日が変更になります。定日13・14・15日の発売誌は12日へ繰り上げ発売されます。また、お盆の期間中は取次も休みとなるので、引きずられるように店舗も臨時休業となります。

候補作品をのこらず並べた棚を、それも雑誌発行日に合わせてお披露目するのが、本屋の夢の一つです。「計画的な発注を済ませて夏休みをとるのだ」と書店員は語っていました。