本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

自分が自分であることはなにかを考えさせられる本

先週入荷したノンフィクションの新刊本です。

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「キッド 僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか」ダン・サヴェージ 著(みすず書房

同性カップルが養子縁組によって子どもを迎えるまでの事の次第を等身大で綴った痛快ノンフィクション。

ダンとテリーはゲイのカップル。オープン・アダプション(開かれた養子縁組)で子どもを迎えようと決めた二人だが、男二人で「育ての親」になるという挑戦に加え、「生みの母親」であるホームレスのパンク少女メリッサの事情も絡んで、縁組成立まで一喜一憂の道のりに……。前例のないさまざまなステップを踏破して、ついに愛する息子D・Jの親になるまでの
自身の体験を、機知とユーモアたっぷりに語る。

自虐&下ネタ満載で(その実、真摯に)経験を語り、同性愛への偏見に対しては辛辣な皮肉の乱れ撃ち! この愛すべき著者は、世界的なムーブメントとなったIt Gets Better Projectの発起人にして「アメリカで最も有名な同性愛者の権利擁護活動家の一人」(ハフィントンポスト)。

何が人を親にするんだろう、家族って何だろう──読み進むほどにページを繰る手がもどかしいほど加速する、新しいかたちの家族の誕生物語。

「原著は1999年から読み継がれるロングセラーで、養子となる子どもが生みの親・育ての親双方とつながりを持ち続けられる“オープン・アダプション(開かれた養子縁組)”についての最良の参考書として定評がある」という評価を読んだ書店員は放送局員のアンテナにうまくヒットするだろうと自信満々です。

「いい歳なのに、なぜ結婚しないの?」社会が投げかける“問い”から解放される一冊 - ウートピ

自分が自分であるために社会に対して説明しなくてはならない義務とはいったい何か、考えさせられる好著のようです。