量販書店では地味な扱いを受けている、見た目にもおとなしい本です。原書は「THE INEVITABLE」。避けられないというタイトルは、どこか不安をあおる響きが感じられます。邦題を見る限り読者層はインターネット方面の限られた人たちのようです。しかし、それは誤解であることが棚に並べてすぐわかりました。
試しに数冊店頭に置いたところ放送局員・・・それも幅広い職種の人たちが途切れず手に取るではありませんか。どうやらメディア関係者にとって未来を占う本のようです。出版社の営業担当に話を聞くと「未知のものを知りたい」という欲求に答えを出し続けてきた編集者の最新刊なのだそうです。
「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」ケヴィン・ケリー 著 服部桂 訳(NHK出版)
人工知能、 仮想現実、 拡張現実、 ロボット、ブロックチェーン、 IoT、 シンギュラリティ―・・・これから30年の間に 私たちの生活に破壊的変化をもたらすテクノロジーはすべて、12の不可避な潮流から読み解ける。前作『テクニウム』でテクノロジ一進化の原理を鮮やかに描き出したWIRED創刊編集長による待望の最新作!。
著者は、雑誌「WIRED」の創刊編集長。「WIRED」と聞いただけでアンテナが立ち上がるのは、かなりのテクノロジー知識人です。
二〇年前、インターネットが僕らをどこに連れて行くのかは、まるで分かっていなかった。今から振り返ってみれば、二〇年前に変化の萌芽はすでに準備されていた。だから、これから30年の間に起こる社会変革の流れも、すでにその源流が目の前にあるはずだ。 (NHK出版 松島倫明)
営業担当者の話では、2刷も検討中とのことで、ひょっとしたらヒット商品に育つかもしれません。
Inevitable「避けられない、免れない」という意味。Questioning(探求)「分からないものを知りたい」というのは、人間の根源的な欲求の一つだ。
ケヴィン・ケリー氏は、1952年生まれ。著述家、編集者。1984~90年までスチュアート・ブラントと共に伝説の雑誌ホール・アース・カタログやホール・アース・レビューの発行編集を行い、93年には雑誌WIREDを創刊。99年まで編集長を務めるなど、サイバーカルチャーの論客として活躍している。
〈インターネット〉の次に来るもの [ ケヴィン・ケリー ]
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