本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

マカロニ・ウエスタンの生き字引

映像制作関連書籍のスペースに突然現れた本。

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「マカロニアクション大全 増補改訂新装版」二階堂卓也 著(洋泉社

B級のそしりを受けつつも、マカロニ・ウエスタンを筆頭にスパイ活劇、ジャーロ、カニバル・ホラーを世界中に撒き散らし、多くのファンを熱狂させたイタリア語楽映画界。日本ではじめて、その全貌を明らかにした伝説の連載「イタリアン・アクションの誇りと栄光」に大幅加筆・増補。ファンから研究者までを引き込む熱く、厚い決定版! マカロニを語るならば、まずこの1冊を読め!

放送局には内外の映画購入を手がけるスペシャリストが何人かいます。映画の購入は単品をスポット買いする場合と、配給会社が数本まとめたものを期間限定で購入するケースに分かれます。セット買いの中味は、ヒット作とB級映画の詰め合わせに近いラインナップなのだそうです。購入した映画は期間内に放送しないと権利切れになってしまうので、番組編成担当者と相談しながら放送日を決めます。購入に関する仕事で日勤時間は放送局詰め、退勤後に加え、土日や祝日のプライベートタイムはDVDを見たり、試写会や映画館に入り浸る生活にならざるを得ないそうです。少しうらやましく感じますが、自分の時間を映画に捧げる人生ではないかと感じます。

二階堂卓也氏は、世間がB級・C級と評する映画を中心に評論活動を続ける個性派映画評論家です。「キネマ旬報」に連載した連載記事がきっかけとなってマカロニ・ウェスタンのリバイバルブームを起こしたことでも知られています。本書はイタリア娯楽映画50年の歴史を語り尽くすというのだから、時間のない映画購入担当者にとっては助かります。マニア向けのように見える洋泉社の書籍は、放送局のプロにとって欠かせない資料書籍といえそうです。