本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10

ランキングです。 

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東京堂書店神田神保町店調べ(9月27日)

 

1「〆切本」

90人の書き手による悶絶と歓喜の〆切話94篇を収録。
泣けて笑えて役立つ、人生の〆切エンターテイメント! 

〆切本

〆切本

 

 

2「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常」二宮敦人 著(新潮社)

入試倍率は東大の3倍!
卒業後は行方不明多数!!
「芸術界の東大」の型破りな日常。

才能勝負の難関入試を突破した天才たちは、やはり只者ではなかった。
口笛で合格した世界チャンプがいると思えば、
ブラジャーを仮面に、ハートのニップレス姿で究極の美を追究する者あり。
お隣の上野動物園からペンギンを釣り上げたという伝説の猛者は実在するのか?
「芸術家の卵」たちの楽園に潜入、
全学科を完全踏破した前人未到の探訪記。 

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

 

 

3「小さな出版社のつくり方」永江朗 著(猿江商會)

ライフワークとして出版業界を見つめ続けてきた永江朗が、2000年以降に新しく創業された「小さな」出版社、11社の創業者12人にロングインタビューを敢行。右肩下がりの時代に、あえて「出版社をつくる」ことを選んだ彼らの素顔を描いた、渾身の書き下ろし! 硬直化した出版業界のなかでいつしか忘れていた「本」への気持ちを思い出させてくれる一冊。出版社のみならず、書店、取次など「本」を仕事として選んだすべての人たちにおすすめです。 

小さな出版社のつくり方

小さな出版社のつくり方

 

4「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗」加藤陽子 著(朝日出版社

かつて日本は、世界から「どちらを選ぶか」と三度、問われた。
より良き道を選べなかったのはなぜか。日本近現代史の最前線。

この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、
交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を、
掛け値なしにやりとりできるように、究極の問題例を挙げつつ、シミュレーションしようとしたことにあります。(「講義の終わり」により) 

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

 

 

5「芝浜: 落語小説集」山本一力 著(小学館

「落語の人情世界」を本邦初のノベライズ

時代小説の第一人者が、「落語の人情世界」を本邦初のノベライズ。
夫婦の愛情を温かく描いて、屈指の人情噺として名高い「芝浜」のほか、登場人物がすべて実直な善人で、明るい人情噺として人気の高い「井戸の茶碗」、船場の商家を舞台にした大ネタ「百年目」、一文無しの絵描きが宿代の代わりに描いた絵から意外な展開となる「抜け雀」、江戸末期の名脇役だった三世仲蔵の自伝的髄筆をもとに作られた「中村仲蔵」を収録。
いずれも、人情世界を温かく描いて、落語ファンからも人気の演目です。 

芝浜: 落語小説集

芝浜: 落語小説集

 

 

6「狂気の巡礼」ステファン・グラビンスキ 著(国書刊行会

ポーランドラヴクラフト”による類なき怪奇幻想小説。日常に侵された脳髄を掻きくすぐる、名状しがたい幻視と惑乱―冥境から降り来たる歪形の奇想14篇。実体化する思念の蠢き。ありふれた想像を凌駕する、超越的感覚と神経症的筆致で描く14の短篇、待望の邦訳。 

狂気の巡礼

狂気の巡礼

 

 

7「『イムジン河』物語 〝封印された歌〟の真実」喜多由浩 著(アルファベータブックス)

ザ・フォーク・クルセダーズのレコード発売中止騒動から半世紀。当事者が明かした「本当の舞台裏」。母国「北朝鮮」で忘れ去られた歌に命を与えた日本人、魂を揺さぶられた拉致被害者…。関係者を追った渾身のドキュメント!貴重な写真と楽譜付。

8「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」スティーヴン ウィット著(早川書房

田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レーベルのCEO。彼らのたどる道が奇妙に交錯し、CDが売れない時代に突入していった過程を描き出す。誰も語ろうとしなかった強欲と悪知恵、才能の友情の物語。 

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち

 

 

9「ねこはいに」南伸坊 著(青林工藝舎

世界二冊目、猫が作った俳句絵本。「ねこはい」のぞくへん。

 

ねこはいに

ねこはいに

 

 

10「映画という《物体X》 フィルム・アーカイブの眼で見た映画」岡田秀則 著(リットーミュージック

映画保存のエキスパートが明かす、《物質》面から捉えた映画の新しい魅惑

過去の文化遺産を保存・運用する「アーカイブ」。その仕事は現在ますます注目を集め、21世紀は「アーカイブの時代」とも呼べるでしょう。本書は、そのアーカイブを映画という分野で担ってきた著者による、「物質としての映画」にまつわるエッセイ集です。曰く、映画フィルムは牛からできている。映画フィルムは正しく救わないと爆発してしまう。映画フィルムはしばしば遠い旅に出てしまう。そんな不思議なお騒がせ者だけれど、フィルムの映画こそ未来に残すべき本物の「映画」なのです。
本書では、そんな映画の赤裸々な姿が、土地や歴史を縦横無尽に行き来しながら語られます。そして、映画アーカイブの基本思想は「すべての映画は平等である」。小津安二郎も成人映画も区別なく、7万本以上の映画が快適な環境で未来へ引き継がれてゆく映画アーカイブの収蔵庫は、そのような映画への新たな視座を生み出す場所でもあります。
巻末には蓮實重彦氏との対談を収録!
カバー写真:中馬聰