棚の一角がコミックの特集コーナーになりました。きっかけとなったのはアニメ放送が始まった「3月のライオン」です。常設コーナーでシリーズ全巻そろえるのは、大型書店も近くにあって、なおかつ売り場が狭いこの店では、とてもリスキーな試みではあります。
ドラマの原作や原作予備軍として関係者が注文していくコミック作品が増えています。話題になった作品に加え、これから話題になる原作をいち早く提供するのも放送局の書店の役割だと、書店員は判断しました。
コミックコーナーはテレビ放送と連動した企画です。
したがって放送が気になります。
第一話を見て応援です。
初回放送は前後半で2話に区切られています。
原作にあるチャプターと同じテンポで進むようです。
1話は主人公が養父である棋士を対局で破る場面。川本家三姉妹とのふれあいも和やかに描かれています。
第2話は学校生活。単行本30頁あたりまでの部分です。
一手一手、まるで素手で殴っているような感触がした。殴った手のあたたかさまで生々しく残っている気がする。
瀬戸際にいる養父の棋士を奈落の底に突き落とす対戦。
殺人事件のテレビニュースを見ながら主人公が回想するシーンです。
原作では大コマで描かれていた場面をアニメでは蜘蛛の巣のように絡みつく髪の毛ごしの腕先として表現していました。
ワンカットで時間を止める漫画と、時間軸で表現するアニメとの異なる表現手段を対比させてみるとアニメ制作者の熱量の高さが読み取れます。
エンドロールに局側の関係者の名前がありません。
放送の権利だけ局が持つ(それも何回まで放送できるか限られているはず)の「購入番組」の位置づけのようです。
ですから、制作側(出資者を含む)の展開の自由度(リスク)も高いため、ヒットすれば利益は放送局ではなく関係者全体に振りまかれるしくみです。
秋のアニメは話題作が多いので激戦が予想されます。大人も子どもも楽しめる良作として話題を集めてくれそうです。
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