音楽や芸能番組担当者向けに揃えたのがこの本。
「ももクロ吟遊録 ももいろクローバーZ公式記者 インサイド・レポート2015-2016 」小島和宏*1 著(太田出版)
5人はどんなに険しい山や深い谷でも越えてゆく。世界中に笑顔の花を咲かせるために。前著『ももクロ見聞録』から1年。もはや時代を代表するアーティストとなった、ももいろクローバーZ。全国津々浦々でライブを行い、各地で待つたくさんのファンと対峙する5人を追った、濃密すぎる“吟遊録”。
音楽・芸能番組関係の世界は、なんといっても人脈の世界。他の分野で働く放送関係者からは、仕事の内容がよく分かりません。音楽に対する素養は必要かも知れない。しかし、芸能人をまとめて番組というコンテンツに仕立てるには、音楽なんて知らない方がいいという放送局員すらいます。出演者を集めるブッキングにしても、スケジュール調整に加え、出演者同士の相性などしっかり抑えておかないと話にもならないのだそうです。このことを踏まえて、芸能関係の情報を抑えると、行間から全く違う世界が見えてくることもあります。
ももクロのマネージャー 川上アキラ*2さんをお招きした講演で、彼の目指すエンタメ世界のお話を聞きましたが、内容は非常にビジネスであったことには驚かされました。そのビジネスを支えるのは「体育会系のノリ」。「チームのために闘う」というあれです。タレントを支えるのは裏方のスタッフ。スタッフもまたタテ社会の構図で走ります。加えて運営は過酷な綱渡り。放送局員もそのことをよく知っていてムリを聞いたり聞かなかったりします。この世界はきれいな花のように私たちを楽しませてくれますが、華麗な花びらが散った後には、実はなにも残されていないということにも気付かされます。