「天才」と聞いて「バカボン」と答えてしまうところに自分の年齢を感じる本
「世界天才紀行」エリック・ワイナー 著(早川書房)
古今東西の天才たちを輩出した土地をたずね歩く、愉快で深い旅行記。
〇ソクラテスもプラトンもアテナイを歩き回って思索を深めた。
〇レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロはフィレンツェの路上で口論した。
〇アダム・スミスとデイヴィッド・ヒュームはエディンバラのパブで日夜議論を闘わせた。
〇モーツァルトはウィーンの喧騒を愛し、ベートーヴェンはこの街で数十回の引っ越しをした。
〇失敗に寛容なシリコンバレーで、スティーブ・ジョブズはアイデアを育んだ。きら星のごとき天才たちが、特定の時代の特定の場所に集団で現れるのはなぜか?
世界的ベストセラー『世界しあわせ紀行』の著者が、古今東西の天才を生んだ土地を訪ねて、
アテネからシリコンバレーまで7都市を旅するユーモアとウィットあふれる思索紀行。
出版社の紹介文を読む限り、世界の天才たちの人物像に迫るルポではなく、天才たちを育んだ風土を巡り歩く旅行記のようです。書評を探し歩くと原書が刊行されたアメリカではベストセラーにランクインしています。著者は1963年生まれのアメリカのジャーナリスト。『ニューヨーク・タイムズ』紙から全米公共ラジオ(NPR)に転じ、長きにわたってニューデリー、エルサレム、東京などで海外特派員として活躍した経歴をもつ人だそうです。
『ワシントン・ポスト』紙では、次のように紹介されている。「エリック・ワイナーは無類の旅行ガイドだ。愉快で、物知りで、自嘲ぎみの......。[彼の]個性あふれる文章を読むと、一風変わった、満ち足りた世界旅行に自分も出かけた気分になれる」
タイトルはややフライング気味。著者の前作「世界しあわせ紀行」パート2といった売り方の方があざとさが削がれて良かったのではないかと思いますが、どうでしょう。