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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

殺人犯はそこにいる・文庫Xの影響力とは

 突然問い合わせが増えはじめた本です。

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「殺人犯はそこにいる」清水潔 著(新潮社)

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?なぜ「足利事件」だけが“解決済み"なのか?執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。

北関東一円で発生した幼女誘拐殺人事件を追ったのかフィクションです。栃木県足利市で3件、群馬県太田市で2件発生した事件に共通性があると感じた著者が事件の背景を独自に辿り、事案の一つである通称「足利事件」はえん罪ではないかと推論する本です。自ら現場に足を運び実名で記事を書くという姿勢からは、捜査当局に対する怒りの強さが伝わってきます。

「殺人犯はそこにいる(清水潔著:新潮社)」のこと としさんのブログ(奈良)/ウェブリブログ

5月に発行された文庫が、半年たって注目を集めたわけとはいったい何か?書店員に聞くと、この文庫が実名を伏せて書店で売られたからだというのです。

この本に注目が集まるきっかけとなったのが今朝のニュースです。 

NHK総合おはよう日本」11月2日(水)

「題名も著書も隠して”文庫X”各地の書店で」という企画。

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全国の本屋で話題の“文庫X”の紹介。
書店の店員が書いた文章で本の表紙を覆って販売。
岩手県盛岡市・さわや書店フェザン店の店員・長江貴士が発案した。
3か月で3000部売れ、各地に広まった。
文庫Xは今、全国の200を越える書店で取り扱われている。
ジュンク堂書店・ロフト名古屋店・遠藤愛子が「先週1週間はお店のすべての本の中でいちばん売れました」、さわや書店フェザン店の店員・長江貴士が「先入観を全部排除して手にとってもらうように出来ないかなと思って」、精文館書店中島新町店・久田かおりが「もっとたくさん本は買われるし読まれるのではないか」と述べた。

文庫Xとは、書店員がどうしても売りたい本に覆面をかぶせて売る方法です。もともと盛岡市のさわや書店フェザン店が始めた方法で、手作りのブックカバーをつけ購入するまで中身がわからないというものです。販売方法が話題を呼び30都道府県の200店舗以上が同じ方法で販売しているのだそうです。 

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カバーの背表紙には「さわや書店 入魂の一冊!」と書いてあります。デザインを見る限り、展示するには「棚ざし」よりも「平積み・面陳」で売り場に置いた方がインパクト大です。

全国それぞれの書店で同タイトルの本が売られているわけではないようです。店によって推薦する本は異なるものと思われますが、たまたまネット丈で「さわや書店」の文庫Xの内容が判明したことから紹介が急増したと思われます。

この売り方は以前訪問した書店・天狼院が、全点買い切りというリスクを背負いながら売り出した覆面本によく似ています。違うのは返品が可能な委託配本制度に守られた文庫に覆面をつけたことだけ。疑問を感じないわけではありませんが、書店員が真剣に本を売るという姿勢には学ぶべき部分があります。

tanazashi.hatenablog.com

 

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