本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

ケトルのEテレ特集が深い

正月は観るべき番組がみあたらないので本が読める。こう思っている放送局員も少なくないのではないかと思います。おまんまの種なんですがね。 

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意外な発見があるチャンネルがEテレです。年またぎに放送していた「0655」「2355」は巧妙に仕掛けられた罠にはまるような快感を感じるミニ番組でした。誰が作ったのかクレジットを待つと「ユーフラテス」。

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だんご三兄弟」や「ポリンキー」、「バザールでござーる」などの変化球で知られる、あの佐藤雅彦さんたちのグループです。

媚びを売らないユーモアを漂わせたつくりは、日常生活にある種の気づきを与えてくれるものばかりです。こう書いて思い当たるのがEテレの編成が持つ懐の広さ。それはなにかと本のページをめくるとそこに答えがありました。

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「専門店」という表現はかなりツボを突いています。街を歩くとものがあふれ、同じような商品ばかりを並べるチェーン店ばかりが眼に入る昨今。本当に欲しいもの・・・というか、手に入れたいサービスを見つけるには専門店に行くしかない場合がよくあります。

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小さな子どもを抱えた家族や、学校教育のサブテキスト、マイノリティー向けの番組ばかりと思い込んできた「先入観」を覆すようなサービスを見つけることができます。

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こうしたサービスの多様性はどこから生まれたのか、歴史は挑戦の連続だったという年譜をたどるとEテレの置かれた位置づけが見えてきます。その半分以上は国の政策や社会の要請により占められています。しかし、細部をよく眺めるていくと自由な発想が芽吹いたような企画がそこかしこに息づいていることが見えてきます。低予算そして低い視聴率という制作に当たる放送局員にとってネガティブに見える条件が、逆に個性的な企画の登場を許しているかのようです。なんだか道ばたに咲く雑草のような感じですね。

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「縛りが強いからこそ、発想を豊かにしなければならない」と編集長は語っています。ことばにある「縛り」を「逆境」と言い換えると、なんだか生きていくことが前向きになる気がして来るような気がします。