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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

科学者と軍事研究との危うい関係

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ヒトラーと物理学者たち――科学が国家に仕えるとき」 フィリップ・ボール 著、 池内 了、小畑 史哉 翻訳(岩波書店

権力や名声には無関係と思える科学や科学者が、結果として政権に奉仕することになっていったのはなぜか。プランク、ハイゼンベルク、デバイという三人の著名なノーベル賞学者を中心に、最新の資料や新証言から見えてくる人間の弱さ・したたかさを徹底的に問う。彼らはいったい何を守ろうとしたのか。それは過去の話ではない。

 

「チョットだけよ」とはドリフのコント。その中でもとりわけ耳に残る加藤茶の持ちネタです。欲望に突き動かされ誘惑にはまる人間の愚かしさは、科学者といえども変わらないようです。 

最近、防衛省は「安全保障技術研究推進制度」のもと大学をはじめとする民間の研究機関に向けて研究公募をはじめています。従来あった文部科学省の研究費が年々縮小する中、研究者にとっては防衛研究の資金は魅力的に映っているようです。

 

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先の戦争で兵器開発に荷担した反省を踏まえ、「学者の国会」たる日本学術会議は「科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」と宣言しました。しかし、その「学術会議」の目にも潤沢な研究費がちらついて見えています。

訳者の池内了さんは科学者の一人として、誘惑に負けた過去の科学者の例をひもときつつ警鐘を鳴らします。軍事研究が活発化する背景には流動化する世界の力関係があります。脅威の増幅と安全保障のジレンマの中で、私たちは何を選択すべきなのか考え続けることをやめてはいけないように思います。 

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