本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

佐倉統さんが選んだ今年の一冊

2016私の三冊

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佐倉統*1さんが選んだ今年の三冊。

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1「描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画」リチャード・バーネット 著(岩波書店

写真が誕生する以前、疾病を記録した細密イラストが雄弁に語りかける―人々はいかに病気と闘っていたか、患者が社会からどのように見られていたのか。ブリティッシュ・ブック・デザイン・アンド・プロダクション・アワード最優秀作品賞受賞。

描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画

描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画

 

さまざまな病態を描いたリアルな図版を多数集めて俯瞰した問題作。超グロテスクだが果たした役割は大きい。 

2「ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた」ランドール・ マンロー 著(早川書房

生き物の細胞のなか、原子力発電所、ヘリコプターの飛ぶ仕組み、国際宇宙ステーション、法律の文章、宇宙を調査に行った宇宙船…棒人間マンガとイラストと、小学生にもわかる言葉だけで、ややこしいものを説明。ベストセラー『ホワット・イフ?』の著者による世界のトリセツ。

ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた

ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた

 

 

tanazashi.hatenablog.com

 

 

3「ヘンリー・ソロー 野生の学舎」今福龍太 著(みすず書房

アメリカでもっとも著名で独創的な思想家、ヘンリー・ソロー。
ウォールデン湖畔に自ら建てた小屋で自給自足し、森を毎日何時間も歩く、たった独りの生活を送った。
奴隷制に反対し、2冊の本を刊行し、44歳で生涯を終えた。
森で結実したその思索は、現代社会の危機とそこに生きる人間のありかたを示唆し、
世界に大きな影響を与えた。
謎に満ちたこの思想家の学舎に、私たちは招かれている。
歩くこと、孤独、自然、市民、共同体…『コンコード川とメリマック川の一週間』『ウォールデン』
『散策』『メインの森』『ケープコッド』『社会改革論集』そして膨大な日記に誘われ、
本書はその思索のエッセンスを発見する。
2017年は、ソローの生誕200年にあたる。
急激な産業化と社会の激動の中で、真に自由な生き方を考え続けたソローのすべてをそっと手渡す一書。

 

ヘンリー・ソロー 野生の学舎

ヘンリー・ソロー 野生の学舎

 

 

*1:進化学者。東京大学教授。専門は進化学を中心とする科学史、科学技術社会論、サイエンスコミュニケーションに関する研究。 科学技術を人間の長い進化の視点から位置づけていくことを、興味の根本として挙げている。NHKの科学教育番組「サイエンスZERO」コメンテーターも務める。