2016私の三冊
- 1「おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are」 松田青子 著(中央公論新社)
- 2「かわいい海とかわいくない海end.」瀬戸夏子*2 著(書肆侃侃房)
- 3「非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か 」杉田俊介 著(集英社)
1「おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are」 松田青子 著(中央公論新社)
わたしたち、もののけになりましょう!
あるときは訪問販売レディ、あるときはお寺の御朱印書きのアルバイト、そしてあるときは謎の線香工場で働く〝わたし〟たち。
さて、その正体は――?!
八百屋お七や座敷童子、播州皿屋敷お菊たちがパワフルに現代を謳歌する痛快連作短篇集。
嫉妬、憎しみ、孤独に苛まれ、お化けとなった女たちの並々ならぬパワーが昇華され、現代女性の生きにくさをも吹き飛ばす!
ここにしかない松田青子のユニークかつ爽快な17つの物語。
おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are
- 作者: 松田青子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: 単行本
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人間も動物も死者も妖怪もその他も、みんなごたまぜに生きている。風通しが良くて、この小説世界が楽しすぎて、読んでいることが爽快。
2「かわいい海とかわいくない海end.」瀬戸夏子*2 著(書肆侃侃房)
消防士と強盗がかなしく分かつポカリスエットに頰を打たれた 宗教における蛍光の十重二十重ただまっすぐの宿命なんて ひどい嵐ひどい満開そのただなかにして鏡を財布に 歌集。
かわいい海とかわいくない海 end. (現代歌人シリーズ10)
- 作者: 瀬戸夏子
- 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私の短歌の通年を破壊し尽くした。この言葉の氾濫と強靱な批判性は体験して貰うしかない。
3「非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か 」杉田俊介 著(集英社)
性体験、雇用、加齢、家族…。男性の抱える悩みが今ほどクローズアップされた時代は、過去にないだろう。男はなぜ、今の世を生きづらく感じるのか。根底にある男の「弱さ」、その先に見える「新たな男らしさ」とは?本書は、客観的な突き放した立場からではなく、男性たちの弱さに寄り添いながら問題と向き合い、たとえ愛されず、承認されずとも、優しく、幸福に生きていく方法を探った全く新しい男性批評である。
たいていの男は、男であることをこじらせて恨みを溜めている。それを暴力に向かわせないためにめくる本。女性は最初は嫌悪感を覚えるかもしれない。でもこの本を避ければ、差別主義者の激増を黙認することになるだろう。