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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

諸富徹さんが選んだ今年の三冊

2016私の三冊

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諸富徹*1さんが選んだ今年の三冊。

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1「限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭」ジェレミー・リフキン 著(NHK出版)

いま、経済パラダイムの大転換が進行しつつある。その原動力になっているのがIoT(モノのインターネット)だ。IoTはコミュニケーション、エネルギー、輸送の“インテリジェント・インフラ”を形成し、効率性や生産性を極限まで高める。それによりモノやサービスを1つ追加で生み出すコスト(限界費用)は限りなくゼロに近づき、将来モノやサービスは無料になり、企業の利益は消失して、資本主義は衰退を免れないという。代わりに台頭してくるのが、共有型経済だ。人々が協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する新しい社会が21世紀に実現する。世界的な文明評論家が、3Dプリンターや大規模オンライン講座MOOCなどの事例をもとにこの大変革のメカニズムを説き、確かな未来展望を描く。21世紀の経済と社会の潮流がわかる、大注目の書!

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭

 

私的所有経済から共有経済への移行過程に位置づけ、来る社会変化を予言する。

 

2「時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか」ヴォルフガング・シュトレーク 著(みすず書房) 

資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。
70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用
賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、
つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。

80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に
乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。

だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税
緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショック
ひとつの頂点を迎えた。

いま世界は、銀行危機、国家債務危機実体経済危機という三重の危機
の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響を
もっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、
各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま
最大の危機を迎えている。
資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。
危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。
ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。


[目次抄]
序章 危機理論
第一章 正当性危機から財政危機へ
第二章 新自由主義改革
第三章 財政再建国家の政策
結語 次に来るものは何か?
参考文献
訳者解説 いつまで「時間」を買い続けられるか

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

 

各国中央銀行量的緩和政策が、資本主義の危機縁根本解決ではなく問題の先送りにすぎないと喝破。金融破綻は国民に押しつけ、金融資本は救済する先進国経済において、国家が債務と抱き合いながら生きていく実像をあぶり出す。 

3「マイナス金利政策 3次元金融緩和の効果と限界」岩田一政 、左三川郁子 、日本経済研究センター 編(日本経済新聞出版社

「史上最強の政策」真の効果は?
賛否両論が渦巻く歴史的な大実験、マイナス金利政策。経済、マーケットへの影響は? 副作用は?
長期停滞論、ヘリコプターマネー論も交え、徹底検証。

2016年1月、日本銀行が導入を発表したマイナス金利政策。1999年のゼロ金利政策以来でいえば第5の非伝統的な金融政策であり、「史上最強の枠組み」と黒田総裁が称する、量的・質的金融緩和(QQE)の両軸にマイナス金利を加えた「3次元緩和」政策です。
少子高齢化が進行するもとで、デフレとの長期にわたる闘いの末に導入を決断したマイナス金利政策によって、日本経済はデフレから完全に抜け出し、成長経路に戻ることができるのか。それともネガティブな効果を経済に与えるのか。日本銀行は財務の健全性を保てるのか。3次元QQE政策はどこまで継続できるのか。
未踏の金融政策の効果とリスクを理論・実証両面から解明するとともに、日本経済が成長を取り戻すための方策を提案します。

マイナス金利政策 3次元金融緩和の効果と限界

マイナス金利政策 3次元金融緩和の効果と限界

 

量的緩和政策がもたらす日銀の財務既存リスクへの鋭い警告。日銀自身がショックを吸収ではなければ、国民負担となる。量的金融政策の成否にかかわらず、われわれは巨大な国家債務残高と日銀の財務リスクという現時に向き合わざるを得ない。 

 

*1:経済学者、京都大学教授。 専門は財政学、環境経済。経済学博士。現在、京都大学公共 政策大学院でも教鞭をとっている。大阪府生まれ