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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

斎藤美奈子さんが選んだ今年の三冊

選書

2016私の三冊

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斎藤美奈子*1さんが選んだ今年の三冊。

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1「ことばの地理学: 方言はなぜそこにあるのか」大西拓一郎 著(大修館書店

「カタツムリ」の方言分布は本当に同心円か?柳田国男の方言周圏論で有名な「カタツムリ」「マイマイ」「ツブリ」等の分布も、ていねいに検証してみると疑問点が…。川や海の交通網、家族制度、人口密度など、多彩な視点から「土地」と「ことば」の結びつきの謎に迫り、方言研究の新たな地平を切り拓く。

ことばの地理学: 方言はなぜそこにあるのか

ことばの地理学: 方言はなぜそこにあるのか

 

方言の分布と伝達の過程を論じた。やや専門的だが楽しい本。東野「言わない」と西野「言わん」の協会はどこか。「言うだ」「言うずら」の本家はどこか。言葉は人を介して旅をし、定着するのだと納得。

2「化粧の日本史: 美意識の移りかわり」山村博美 著(吉川弘文館

化粧には、おしゃれ、みだしなみ目的のほかに、身分や年齢、未既婚などの立場を示す機能もあった。古代から現代まで、地域や時代の価値観に左右される化粧の変遷を、メイクアップを中心にたどり、流行の背景となる社会現象とともに探る。時代による美意識の変化や東西比較、メディア戦略にも触れながら、暮らしの中にある化粧の歴史を描きだす。

化粧の日本史: 美意識の移りかわり (歴史文化ライブラリー)

化粧の日本史: 美意識の移りかわり (歴史文化ライブラリー)

 

白粉の白、お歯黒の黒、口紅の赤という三色を基本とする日本の化粧に肌色が加わるのは大正、青や緑のアイメイクが定着したのは戦後、などの指摘が新鮮。

3「手のひらの京」綿矢りさ 著(新潮社)

なんて小さな都だろう。
私はここが好きだけど、いつか旅立つときが来る――。

奥沢家三姉妹の日常に彩られた、京都の春夏秋冬があざやかに息づく、綿矢版『細雪

おっとりした長女・綾香は31歳、次第につのる結婚へのあせり。一方、子供の頃からモテて、恋愛に生きる次女・羽依は入社早々、職場で人気の上司と恋仲に。大学院で研究に没頭するリケジョの三女・凜は自ら人生を切り拓くべく、いずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。かけがえのない日常に宿るしあわせ。人生に、恋に悩みながらもまっすぐ生きる三姉妹の成長と旅立ちの物語。

手のひらの京

手のひらの京

 

京都を舞台に三姉妹の恋愛模様を描いた綿矢版「細雪」。四季の彩りに満ちた物語はドラマにひ「ったり。今なら早い者勝ちだ。

*1:文芸評論家。新潟県新潟市出身。父は新潟大学名誉教授の物理学者で、宮沢賢治の研究者としても知られる斎藤文一。妹は、韓国語の翻訳家・斎藤真理子