「大統領を操るバンカーたち」ノミ・プリンス*1 著(早川書房)
第一次世界大戦の前夜から現代にいたるまで、米国のエリート銀行家たちは、政策や法律を決定づけ、ホワイトハウスに人材を送り込んできた。その驚くべき癒着関係の実態とは? ゴールドマン・サックス出身の著者が膨大な資料から真実を丹念に掘り起こした力作。
映像の20世紀で描かれていたように、世界を牛耳っているのはアメリカの銀行家と政治家です。彼らが陰で手を結び合い互いに補完してきた権力の構図は、昔も今も変わりません。その姿は大きな動物に似ていて一部を撫でてみたところで実態をつかむのは困難です。舞台に登場する人物を熟知し、彼らの残した膨大な足跡を整理するところからようやく糸口が見えてきます。
*1:ジャーナリスト。リーマン・ブラザーズ、チェース・マンハッタン銀行などに勤務した経験を持つ