ブルータス「危険な読書」で紹介された5人目の危険な作家は、戦後の猥雑な残り香を辿って、都市に眠る危険な記憶を蘇らせる・・・
- 「東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く」藤木TDC 著(実業之日本社)
- 「昭和酒場を歩く―東京盛り場今昔探訪」藤木TDC 著(自由国民社)
- 「場末の酒場、ひとり飲み」藤木 TDC 著(筑摩書房)
- 「まぼろし闇市をゆく 東京裏路地「懐」食紀行」藤木 TDC 著(ミリオン出版)
のんべいたちが集う新宿西口の「思い出横丁」、上野の「アメ横」、吉祥寺の「ハモニカ横丁」などはヤミ市をルーツに持つ繁華街です。そこで提供される餃子ややきとんといった庶民の味も同様にヤミ市の影を引きずっています。今でこそレトロな空間、整備されてクリーンな装いを見せる空間も、一皮むけば昭和の文豪が通った私娼窟であり、場末の共同便所であったり、暴力沙汰が絶えない危険で猥雑な昭和の裏通りであったことがわかります。
「東京戦後地図 ヤミ市跡を歩く」藤木TDC 著(実業之日本社)
繁華街の路地の一画の古びた飲み屋街。ビルの地下のいささか場違いな飲食店街。東京の片隅に残る、戦災からの立ち直りを刻んだ土地と人の記憶。よみがえる戦後の盛り場。貴重路面図で探訪する東京。
「昭和酒場を歩く―東京盛り場今昔探訪」藤木TDC 著(自由国民社)
「どこの街にもある、魅力的だがちょっと怖いディープゾーン。藤木さんはそんな『場末』の名ナビゲーターである」昭和の原風景を感じさせる酒場=“昭和酒場”を訪ね歩く、異色の盛り場歴史ガイド。「荷風!」の人気連載記事を加筆再構成、カラー写真も多数掲載して単行本化。
「場末の酒場、ひとり飲み」藤木 TDC 著(筑摩書房)
繁華街でも商店街でもない場所にぽつんとある鄙びた酒場。破れた赤提灯、煤けた暖簾、汚れた引き戸。一見客を突き放す閉鎖的な空気を漂わせている。愛想をふりまく看板も品書きもない。どんな店主が経営し、どんな客が集まっているか。どうしてこんな場所に飲み屋があるか。場末の酒場にはそんな疑問がわくが、そこには現代史とも密接な関係を持った歴史があり、個性的な店主と常連客の人情が息づいているのだ。場末の酒場には、酒徒の好奇心を満足させる物語と流儀がある。日常のしがらみに疲れた人間を癒す、酒飲み心の原風景とは。
「まぼろし闇市をゆく 東京裏路地「懐」食紀行」藤木 TDC 著(ミリオン出版)
新宿も渋谷も池袋も上野も有楽町もみんな闇市だった。進駐軍が、復員兵士が、パンパン・ガールが、MPが、愚連隊が、浮浪児が、そして逞しき多くの庶民が、混乱の中で争い、愛し合い、交錯した戦後の「闇市」。そこから生まれた懐かし美味い「食」を訪ねた彷徨の記録。