本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

街に出て、書店を見に行こう

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1階は絵本など子ども向けの本などをそろえた書店。2階には世界のおもちゃを集めた玩具店の経営で知られるのが、東京・表参道のクレヨンハウスです。

主催するのは作家・落合恵子さん。おしゃれな土地で、女性や子ども連れの若い夫婦を中心に、優雅な商売と思い込みがちですが、小さな書店と同様に大変な思いで商売を続けられているようです。

 経営は厳しいです。うちは内部留保がほとんどなく、いつ何があってもおかしくない。実際、この40年間で全国の書店の数は半分以下に減りました。

 本は出版社から取次会社を経て書店に届くのが一般的でした。書店の利益率は価格の2割ほどです。また取引を始めるのに、多額の保証金を求められますが、そのかわり書店は取次に、取次は出版社に売れ残りを返品できる委託制度でした。うちは書店を始める際に「返品せずに全部買い取るので利益率を上げて」と頼みましたが、かないませんでした。

 そこで独自の取次会社「子どもの文化普及協会」を1984年に始めました。出版社から本を買い取りで引き受け、書店にも買い取り、つまり返品しない条件で引き受けてもらう。その分、書店の利益率を上げ、保証金も取らないシステムにしました。出版社にも入金が遅い従来のやり方より喜ばれると考えたからです。(落合恵子談)

(人生の贈りもの)わたしの半生 作家・落合恵子:10 71歳:朝日新聞デジタル

例えば1,000円の本を一冊売って200円の収入となるわけですから、儲けようと思ったらかなりの売り上げをこなさなくてはなりません。新たに書店を開こうとしても委託制度ならではの壁があることもわかります。書店は取次から本を”借りて”営業しているようなものなので、取次に多額の保証金を払わなくてはならないという決まりもあります。ですから新規参入もなかなか難しいのが実態です。

 

なんとかしないといけないということで、様々な取り組みが進んでいます。 例えば先日ご案内したこの本のように、

tanazashi.hatenablog.com

一見ほほえましく見える書店の取り組みも、実は大変な創意工夫と努力によって支えられていることがわかります。散歩の途中で小さな書店を見かけたら「経営」という視点を頭に浮かべながら、棚の選書を眺めてみると、店の決意がわかるような気がします。 

本屋は人が立ち止まり、本を挟んで既成の価値観を「本当にこれでいいの?」と考える場所でもあります。私も本からたくさんのことを教わった。書店が消えては困ります。表現活動がねじ曲げられて自主規制しそうになっている今こそ、いろんな方法を大人が子どもに示せる空間の一つが書店ではないか。そのことを大事にしていきたいんです。(落合恵子