本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

フジテレビ凋落の全内幕

一年を通じて鉄板といっていいほど堅い動きをするのがマスコミ関連の本です。

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「フジテレビ凋落の全内幕」中川一徳、伊藤博敏、安田浩一、窪田順生、林克明 著(宝島社

 

長らくテレビ界の「覇者」だったフジテレビの視聴率が下げ止まらない。昨年の年間視聴率争いでは、全日帯では日テレ、テレ朝に次ぐ3位に着けたが、ゴールデン帯とプライム帯ではTBSに抜かれ4位に転落。今年に入ってからも視聴率は好転していない。視聴率の下落とともに営業利益も激減している。坂道を転げ落ちるようなフジテレビ凋落の原因はいったい何なのか。日枝長期政権による組織の機能不全、カジノ誘致など放送外収入路線への転換、コネ採用と情実人事の横行などフジテレビの内情リポートとOB、関係者たちの証言によって“メディアの王様”凋落の原因に迫る。著者はフジサンケイグループの暗部を描いた『メディアの支配者』で知られる中川一徳氏ほか。

放送局も含み、マスコミは大きな力を持っています。マスコミ側は強力な力を自覚していることはいますが、その矛先は自分たちよりもっと強力な”権力”に向けられています。つまり、権力者の行動を監視するのが私たちの役目だという感覚を持っているのです。しかし、ネットを中心に個人が発信力を持つ時代になると、マスコミ自身が権力と見られることを自覚せず、裸の王様のように見られていることを、あまり意識していないかのようにも見えます。

ツイッターなどで発信される情報は個人のような発信者に支えられています。それに対してマスコミは組織が情報の質を担保しています。組織がうまく回っている時はいいのですが、得てして一般社会で通じない理屈がどういうわけか通じてしまうこともあります。蓄積された理屈は歪みとなって、ほんの些細なきっかけに力を解き放ち組織を破壊に導いてしまうこともあります。

フジテレビはバブル景気の時代に輝いていたテレビ局でした。ここで働く知人によると「仕事は電通以上にきつかった。しかし使える経費は縛りがゆるく、例えば深夜タクシーなどは使い放題だった」と語っていたのを思い出しました。エンジンもブレーキも全開の企業だったような企業風土だったのかもしれません。

同社の権利処理の現場にいた知人は「ある番組の権利処理を誤って米国の大手遊園地経営の会社にペナルティを受けてからおかしくなった」と言っていました。あるとき急に番組保存と権利処理に設備投資を始め、お台場の建物の中枢に同業他社からの見学が殺到するほどの設備を誇るほどだったと聞きました。

躓くきっかけがあり、その対策を怠ると大きな危機をまねくということは、テレビ局にかぎった話ではないと思います。話題を集めた「ドキュメント パナソニック人事抗争史」や「住友銀行秘史」の読者と重なるように、管理職と見られる人たちの関心を集めています。

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安倍内閣の3人の閣僚の子弟らがフジテレビ社員とは・・・縁故入社はよく聞くけど人事はなにを考えてるのかね。