本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

丹念に辿ると、世界の仕組みが見えてくる。「人質の経済学」

動きが出始めたのがこの本。

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「人質の経済学」ロレッタ ナポリオーニ 著(文藝春秋

すべての発端は9・11後にアメリカで成立した愛国者法だった。ドル取引のすべてを金融機関は米政府に届けることになり、コロンビアの麻薬組織は北アフリカのユーロ決済ルートを新たに開拓。運搬役となったイスラム系犯罪組織はやがてそのルートを使い、誘拐に手を染め、そこで手に入れた身代金を元手にジハーディスト組織が誕生する。北アフリカからソマリアイラク、シリアへと拡がったジハーディスト組織の錬金術。誘拐交渉人、人質、政府高官らに調査して浮かび上がる「テロリズムの経済」。 

人質の経済学

人質の経済学

 

世間を震撼させたニュースもある期間を過ぎるとお茶の間の話題にも登らなくなります。その後いったいどうなったのか。なぜ事件はおきたのか。時間軸を前後にずらして掘り下げることで隠れていた構造物が見えてきます。事実は藪の中にありますが、金の流れを辿ることで、道が開ける場合もあります。比較的安全なわが国ですが、いつ巻き込まれてもおかしくない状況が世界に満ちあふれています。