本屋は燃えているか

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最新科学で読み解くニッポンの子育て

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「ママたちが非常事態!?: 最新科学で読み解くニッポンの子育て」NHKスペシャル取材班 編(ポプラ社

「夫へのイライラが止まらない」
「母親であることに自信を持てない」
「なんの地獄かと思った」

ニッポンの子育ては、なんでこんなにツラいのか?
育児の「なぜ?」を最新科学で解き明かす!

育児にマイナスの感情を抱いたことのある母親は、実に9割(※NHKネットクラブアンケートより)。
ニッポンのママたちに一体、何が起こっているのか? 最新科学で迫ってみたら、人類700万年の進化の中に答えが見えてきた──。
ママたちを追いつめる日本特有の社会環境にも触れながら、育児の喜びを取り戻すためのヒントを「科学の目線」から示します。
最終章では「パパ」に光をあて、夫婦間の小さなトラブルやストレスを回避する智恵も紹介。

番組づくりの過程で集めた取材成果をもとに出版化をめざすことはよくあります。難しいのは専門性の高いテーマ。たとえば医療などを扱った番気味です。番組の取材者は研究者ではありません。番組の担当者はあるテーマに沿って、様々な文献をもとに著者である専門家にたどり着き、その知見をまとめて整理します。整理した取材結果から見えてきた大きなストーリーを番組という形にし、限られた時間内でわかりやすく再構成するのが彼らの仕事です。ところが、専門家によっては異なる答えが返ってくる場合もあります。そうした場合は注意深く取材結果に潜む「誤り」を探しだして安全なものにしなくてはなりません。さらに、積み上げた事実をもとにわかりやすく論じていかないと、受け手にきちんと伝わらないばかりか視聴者をミスリードしてしまうケースも起こりえます。

一見すると魅力的な「科学的ストーリー」に彩られた本である。しかし少し丁寧に読むと、間違っているとも言い切れないが、科学的には疑問符のつく箇所が次から次に出てきた。

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批評に耐えられるような番組は簡単に作れるものではありませんが、批評を想定して自らを律する姿勢が、番組を下敷きに出版化をめざす者のあるべき姿でしょうか。「鳥の目」と「虫の目」で世界を見るのが番組制作の心得と聞きました。改めて本づくりの難しさを感じます。