はじめての海外文学・とっておきの17冊

翻訳書の魅力を伝えるにあたって、翻訳者だけがいくら声高に叫んだところで、たいした効果はない。ほかのだれよりも何よりも必要なのは、現場で本を売ってくれる書店員さんたちの力である。

越前敏弥 出版翻訳あれこれ、これから 第７回：「はじめての海外文学フェア」 - DOTPLACE

映像や音楽の世界では大量生産によりコンテンツが汎用商品となったとき、価値が出てくるのはユーザーの体験感だ といわれます。ライブ演奏会や落語の寄席の入場券があっという間に完売してしまうのも、コピー商品では得られない生の音や客との間で交わされる体験の楽しみがあるからなのでしょう。本の世界も同様です。著者のサイン会といった限られたイベントだけでなく、本を媒介としたイベントはまだまだあるように思います。そのことをわかる著者の皆さんが声を上げると書店側も動きやすくなると、書店員はつぶやいています。

 阿部賢一　東欧文学者・東京大学大学院准教授

「ナジャ」アンドレ・ブルトン　岩波書店 

ナジャ (岩波文庫)

宇野和美　スペイン児童文学翻訳家 

「パライソ・トラベル」 ホルヘ・フランコ　河出書房新社

パライソ・トラベル

 越前敏弥　英米文学翻訳家

「ヘルプ―心がつなぐストーリー」キャスリンストケット　集英社

ヘルプ―心がつなぐストーリー〈上〉 (集英社文庫)

岡和田晃　翻訳家／文芸評論家／ＳＦ評論家

「〈グレン・キャリグ号〉のボート」ウィリアム・ホープ・ホジスン　書苑新社 

〈グレン・キャリグ号〉のボート (ナイトランド叢書)

駒月雅子　英米文学翻訳家 

「歌うダイアモンド」ヘレン マクロイ　東京創元社 

歌うダイアモンド (マクロイ傑作選) (創元推理文庫)

 柴田元幸　アメリカ文学研究家／「MONKEY」編集長

「フランケンシュタイン 」メアリー・シェリー　新潮社 

フランケンシュタイン (新潮文庫)

鈴木恵　英米文学評論家

「阿Q正伝・狂人日記 他十二篇－吶　喊」魯迅　岩波書店 

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇?吶　喊 (岩波文庫)

高遠弘美　フランス文学者／明治大学教授 

「失われた時を求めて〈1〉」マルセルプルースト　光文社 

失われた時を求めて〈1〉第一篇「スワン家のほうへ1」 (光文社古典新訳文庫)

田口俊樹　英米文学評論家 

「1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編」O・ヘンリー　光文社 

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

 遠山明子　ドイツ文学評論家

「囀(さえず)る魚」アンドレアス・セシェ　西村書店 

囀(さえず)る魚

 都甲幸治　アメリカ文学研究者／早稲田大学教授

「はるかな星」ロベルト・ボラーニョ　白水社 

はるかな星 (ボラーニョ・コレクション)

西崎憲　小説家／翻訳家／日本翻訳大賞選考委員 

「コドモノセカイ」岸本佐知子　河出書房新社 

コドモノセカイ

野口百合子　英米文学翻訳家 

「ガラパゴスの箱舟」カートヴォネガット　早川書房 

ガラパゴスの箱舟 (ハヤカワ文庫SF)

藤井光　英米文学者／同志社大学准教授 

「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」ジェフリーユージェニデス　早川書房 

ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 (ハヤカワepi文庫)

古沢嘉通　英米ＳＦ・ミステリ翻訳家

「紙の動物園」ケン・リュウ　早川書房 

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 古屋美登里　英米文学翻訳家／エッセイスト

「ロリータ」ウラジーミル ナボコフ　新潮社 

ロリータ (新潮文庫)

宮下志朗　フランス文学者／放送大学教授 

「七人の使者・神を見た犬 他十三篇」ブッツァーティ　岩波書店 

七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫)