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「ブラタモリ」ブーム・古地図で辿るミニツアー・江戸城の全貌 ―世界的巨大城郭の秘密

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江戸城の全貌 ―世界的巨大城郭の秘密」萩原さちこ 著(さくら舎)

江戸城の全てと秘密!江戸城は面白い!徳川家康は不毛の地・江戸を、どのようにして世界最大級都市へと発展させたのか?江戸城の秀逸な構造と築城秘話に迫る!

 今年度の放送文化賞の話題をさらったのはタレントのタモリさんです。ご当地の歴史を辿る「ブラタモリ」が好評で、地域の歴史を歩いて回るミニツアーも各地で盛り上がっています。放送が文化に果たす方向性を示してくれたような気がします。番組プロデューサーが書いた内輪話を読むと ヒットに至る道のりの険しさがわかります。

時代をつかむ!ブラブラ仕事術

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 「マニアにしか受けない」と言われながらスタートした番組ですが、「何も知らない」は武器になると、テーマを深く掘り下げた作り方が王道をゆくものだったことがわかります。調べてゆくと、定時番組として誕生するまでに、先行して制作された特集番組があることがわかりました。この番組の柱となっているのは古地図です。ふだん何気なく見ている風景やくらし。その歴史をさかのぼると発見があることに気付いた制作者がいたのです。例えば「大江戸繁盛記(1)~江戸古地図の旅」(2003)

江戸の歴史と魅力を描くシリーズの第1回。現代の東京に生きる少女と、江戸時代からタイムスリップしてきた侍が、古地図を頼りに、江戸と東京を行き来する。

地図に描かれた事実と現在ある風景の差分を検証するという手法です。こうした調査報道は放送局員にとっては慣れたもの。次々に意外な事実が明らかになってきました。こうした番組の進化形が「ブラタモリ」となって私たちを楽しませてくれるのです。さて、一般人はとてもそこまでの取材力は持てませんが、様々な資料をつつき合わせることで目から鱗の発見をすることができます。「ブラタモリ」でも描かれていましたが、江戸の市街はもともと葦が茂る荒れ地でした。

徳川家康豊臣秀吉の命で入った江戸は、ひどい荒地でした。しかし家康は、不毛の地・江戸を「理想の国家をゼロから構築できる新天地にしよう」と思考転換したのです。

江戸城の全貌」を手に実際に城歩きを楽しむと別の発見があるかもしれません。

江戸城の全貌 ―世界的巨大城郭の秘密

江戸城の全貌 ―世界的巨大城郭の秘密