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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

ニッカボッカの歌の凄さ

「客注」とはお客様から受ける注文・本の取り寄せのことを指します。取り寄せが可能な書籍は取次のサイトに掲載されています。取次が手持ちの在庫に加えて版元の状態もレジから直接確認できます。ちょっと昔の本でも、注文を受けてから入荷までの期間を店頭でお知らせできるようになりました。

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ニッカボッカの歌」南悟 著(解放出版社

荒れた中学校生活を送り夜間定時制高校に入学した若者たち。社会の荒波にもまれながら仕事の苦楽を短歌に詠んでいます。学校・生活・仕事の様子を三十一文字の短歌に詠む中から昼に働き夜に学ぶという困難をのりこえ,自分を取り戻す姿を紹介した本です。

今から16年前に出版された本なので、版元品切れかと思っていましたが、迷わずトーハンが運営するe-honネットを開いて在庫を確認。在庫があることがわかりました。(ここに在庫記録がない場合でも、出版社の営業に直接電話をすると手に入れられる場合もあります)

舞台となったのは、阪神淡路大震災に見舞われた兵庫県立神戸工業高校。ここで震災体験を生徒たちに短歌という形で表現させようという授業がスタートしました。生徒のほとんどは短歌どころか授業を受けることそのものがあまり得意ではありません。彼らのやる気を引き出し、自分を表現することの喜びを実感させるという地道な取り組みが、31文字に結晶したと思うと、凄いことだと思わざるを得ません。頁をめくると彼らが詠んだ短歌が授業風景とともにまとめられています。

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「フライス盤」「鉄工所」「やるせなさ」「塗料まみれ」「しんどい」・・・力任せに綴られた言葉の端端から、少年たちを取り巻く環境が浮かび上がるように見えてきます。様々な理由で定時制に通う15歳の少年たちが、日々の生活や働く現場で詠んだ短歌です。

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重労働の作業を終え、自由時間を削ってまで登校してきた少年は、疲れた自分と向き合い、あるがままの気持ちを表現しました。

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境遇を受け入れ、他人を恨まず、自分の生きる道を発見する定時制高校の生徒たちの記録。自分を取り戻しつつある生徒たちの思いは時間を超えても朽ちることなく、心に響きます。