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アリガト謝謝

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「アリガト謝謝」木下諄一*1 著(講談社

 「日本を助けるために、どうしてこんなにも熱くなれるのか」
あの日、あの時、台湾では何が起こっていたのか。世界のどこよりも多い、東日本大震災への義援金200億円はどうやって集まったのか。
そして、たった一人の日本人女性が巻き起こした奇跡の感謝広告「謝謝台湾計画」とは?

感動物語という宣伝文句はやや押しつけがましさを感じます。ということで誰が、なぜ、何のために・・・という興味から、「謝謝台湾計画」の意味を調べました。

wikiによると、「(シエシエたいわんけいかく)は、東日本大震災に寄せられた台湾からの支援に対して、日本人の民間人有志が計画した台湾紙上への感謝広告の掲載計画。感謝広告は2011年5月3日、台湾主要2紙の朝刊に掲載された」とあります。

・・台湾から支援が届けられていたという事実は、不肖にして印象に残っていなかったことから読みすすめると、「東日本大震災に際して台湾から支援が寄せられ、台湾から寄せられた義援金は200億円を超え世界最大の規模となりました」とあります。

東日本大震災を被った日本に対して台湾は相当額の「資金援助」をしていたわけです。マスコミはどう報じていたのか記憶に残っていないのも我ながら困ったものです。

さらに「義援金の額は世界各国から寄せられた義援金の中でも最高額で、当時の日本政府はそのお礼を各国の主要新聞に広告の形で掲載しましたが、台湾の新聞には掲載されませんでした」とあります。

・・助けてもらったらお礼くらいするものなのは人の道です。しかし、国と国との関係は複雑。台湾は国ではなく「地域」とされていることが原因かも知れません。・・・でもねえ。と思った人は私だけではなかったようで。「心意気」という言葉が浮かびますが、日本の有志が現地の新聞に新聞広告を掲載したのです。「日本人デザイナーが個人の企画としてツイッターで広告掲載を呼びかけ、集まった寄付金をもとに広告掲載を行った」とあります。国際政治の隙間を民間が埋めた物語であることがわかりました。

この分野に限らず決まり事や思惑が入り交じった世の中で、思ったことを実行するにはややこしい手続きが必要で、途中で値を上げてしまう場合がすくなくありません。本書の内容もさることながら、登場するみなさんの熱量の高さに圧倒されます。

熱量が高い人たちに放送局員はおおいに感心を示します。

 

アリガト謝謝

アリガト謝謝

 

 

*1:1961年愛知県生まれ。東京経済大学卒業。商社勤務、会社経営を経て台湾に渡り、台湾観光協会発行の「台湾観光月刊」編集長を八年つとめる。2011年、中国語で執筆した小説『蒲公英之絮』(印刻文学出版社)が外国人として初めて、第11回台北文学賞を受賞