春になり動きが出始めたこの本
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!
古典的な文体を駆使して描かれる小説世界は軽くてスピーディ。それが森見登美彦の魅力です。「有頂天家族」京都を舞台に主人公の狸一家と天狗たちの物語が描かれたように、作品で描かれる空間はどこかねじ曲がり、読者の興味をあらぬ方向に投げ飛ばしてくれます。奇想天外な物語を卓抜なストーリーテリングで描くところに読者が食いつく魅力があるのでしょう。
最新作「夜行」が上梓されたばかりの今年は森見作品が立て続けに映像化されます。「夜は短し歩けよ乙女」は同じく京都を舞台にした恋愛ドラマが劇場用アニメ化。時を同じくして「有頂天家族Ⅱ」はPAワークスがテレビシリーズにします。アニメ担当者は両作品を今年の目玉作品として推しています。
狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ〝二代目〟が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜俱楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら……。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!TVアニメ「有頂天家族2」公式サイト