「男であれず、女になれない」鈴木信平 著(小学館)
第23回小学館ノンフィクション大賞に、まさかの「自分自身を取材したノンフィクション」が送られてきました。選考会では、「これはノンフィクションといえるのか」「第三者への取材を行なうべきではないか」など、さまざまな意見がでましたが、選考委員の感想に共通したのはただひとつ。「それでも、この作品は面白い」
自分自身を取材したノンフィクションとは”私小説”ではないのか?と思っていたら「私小説として発表されるべき。しかし、“自分を題材としたノンフィクション”という目新しさが面白い」と社会学者・古市憲寿さんも同じ疑問を抱いていたようです。ジャンル分けの整合性と作品の面白さとどちらを選ぶか問われたら、作品の面白さが優先されるべきだと思いますが、国境を破壊するような動きが話題になるところに今日性があるような気がします。装丁デザインはクラフト・エヴィング商會。